《0078》 認知症が増えていると感じませんか? [未分類]

皆さんの周囲で、認知症の方が増えていると感じませんか?
私の周囲では、この数年「ここは認知症センターか?」と思うくらい、
認知症の方が溢れています。

認知症は、アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型の3型に
分類されています。
大体、6対3対1、の比率でしょうか。
以下、代表格であるアルツハイマー型認知症(AD)について書きます。

どうしてこんなに急激に、ADが増えたのでしょうか?
ADは、生活習慣病と関係が深いことが指摘されています。
特に「糖尿病」の関係が大きく注目されています。

「ものの名前が出てこない=認知症」ではありません。
認知症では、「朝食を食べたこと」や「人と会ったこと」などの出来事
全体が記憶からゴッソリ抜け落ちてしまうのが特徴です。

私は、ADを、初期、中期、終末期に分けて考えています。
まずADの診断には、特に慎重を期します。

CTやMRI、問診票だけではADと診断できないことが多々あります。
血液では甲状腺ホルモンやVB12や葉酸などのチェックが必須です。
診察中に見られる「振り返り動作」は、ADのとても重要なサインです。
診療所でADと断定できない場合は、専門病院に紹介して診断を得ます。

ADであれば、日本で唯一の認知症薬「塩酸ドネぺジル」の投与を打診します。
これは、認知症を治す薬ではなく、進行を遅らせる薬です。
3㎎を2週間投与して問題なければ、5㎎で様子を見ます。
この薬が明らかに有効だと感じる場合が時々ありますが、半数は正直な
ところ、効いているという実感はありません。

稀に興奮症状が出る場合があり、その時はすぐに中止します。
中期では、「周辺症状(BPSD)」が出る場合が多く、そのお薬を使います。
ケアマネさんや介護保険を、上手く使って日常生活を維持するか考えます。
終末期では食べられなくなるため、「胃ろうの是非」が一番の問題になります。

末期がんの平均在宅期間が1カ月半であるのに対して、認知症の在宅医療
期間は数年間あるいはそれ以上に及びます。
ご家族の負担は膨大なものです。

がん対策基本法が出来て、がん医療環境が充実する一方、認知症関連の
社会資源の整備は大幅に遅れています。
在宅が無理な場合、一般病院は受け入れませんし、グループホームなどの
施設の絶対数が足りません。

「認知症は隠れた国民病」「今こそ認知症対策を」と、切実に感じています。