《0782》 葬儀屋さんが先に来てしまった [未分類]

医師法20条は在宅医療の味方ですが、

困るのは、葬儀屋さんとの関係性です。

葬儀屋さんの方が私より早く到着した。

 

葬儀屋さんに電話すれば、約1時間後に来られます。

但しその時に死亡診断書が無ければ遺体に手を触れない。

内部規定で、そうマニュアル化された葬儀屋さんが多い。

 

深夜に亡くなった時に、それで困る場合があります。

葬儀屋はすぐに来た。

しかし、医師は朝一番に来ると言った・・・

 

その間の時間が問題です。家族が困るのです。

医師法20条には問題無くても、葬儀屋さんの

マニュアルに抵触するのが問題として残ります。

 

市民フォーラムでは葬儀屋とのコラボが増えました。

昔はちょっと考えられなかったことだと思います。

そのような場でこの問題を提示しますが解決されません。

 

阿吽の呼吸でいける会社もあれば

はなからダメという会社もある。

在宅医もいろいろならば、葬儀屋もいろいろ。

 

在宅医は、たいてい1人で365日24時間対応。

一方、葬儀屋さんは、当然、当直制での対応です。

勝負しても勝てる訳がありません。(勝負しませんが)

 

「長尾先生、葬儀屋さんのことも考えるのですか。

 大変ですね。大学病院では考えられません。

 葬儀屋さんから何か貰えるのですか?」

 

研修医君が変な質問をしてきました。

 

「貰うはずないやろ!」

 

しかし、よく考えて見れば、腑に落ちないことばかりです。

我々は100円、1000円の自己負担で文句を言われます。

訪問診療や訪問看護の800円を皆さん節約しようとします。

 

ところが死んだ途端に葬儀屋さんに100万円単位の注文。

葬儀屋さんと我々は、ゼロが2つ違う世界なのです。

でもどうせなら生きているうちに使ってあげてよ!

 

と言いたいところですが、ここはグッと我慢、我慢。

深夜の看取りのたびに、情けない気持ちになります。

なにせ、相手は別世界のひとたちです。

 

最後に大雑把な数字を挙げておきましょう。

医療産業の規模は、約36兆円。

葬式産業の規模は、その半分だそうです。

 

もっとも最近は葬儀が簡素化したり、しない人が増えました。

死ぬ人は増えたが、客単価は落ちる一方だそう。

ある葬儀屋さんの社長がボヤいていました。