《0783》 宅死は綺麗で軽い [未分類]

「在宅で亡くなられた方のお顔は綺麗ですね!」

研修医君が、しみじみ呟きました。

たしかに綺麗です。

 

週に1~2回は亡くなった方のお顔を見ているので

もう慣れましたがそう言われればみなさん綺麗です。

それは、病院時代の「死に顔」と比べての話です。

 

顔だけでなく、実は体も綺麗です。

何で亡くなったのだろうと思うくらい綺麗。

ちょとカサカサしていますが。

 

「どうしてこんな違いがあるか分かるかい?」

研修医君に質問してみましたが、

首をかしげていました。

 

これが分かる位なら、当院に研修に来る必要は無い。

それが、ヒントになるかな?

そう、からかって、10分ほど待ちました。

 

「人工栄養の差ですか?」

 

「ピンポン!よく分かったね」

 

実は終末期に人工栄養をするかしないかの差です。

人工栄養をした患者さんは全身が浮腫んでいます。

お顔もかなり膨らんで見えます。

 

あと、体重が全然違います。

病院で亡くなった方は、重い!

一方、在宅は軽い。

 

これは水分量の差です。

大昔、ストレッチャーに移す時に、手伝いましたが、

ずいぶんと重かったことをはっきりと覚えています。。

 

研修医君にわざわざ在宅研修に来て頂いてよかったです。

在宅看取りの患者さんのお顔をしっかり見て頂てました。

この綺麗なお顔から、何かを学んで帰って欲しい。

 

10年後には彼は指導医として研修医を教えています。

その時に、終末期医療が少しでも変わっていて欲しい。

そう願いながら、1週間の地域研修が終わりました。