《0787》 100歳でも心臓カテーテル [未分類]

先日、92歳の認知症の患者さんのお見舞いに行きました。

在宅療養で看ていましたが、誤嚥性肺炎を起こされました。

ご家族は、入院加療を希望しました。

 

私は、ご自宅に戻ってくることは難しいと思っていました。

それくらい、虫の息の少し手前という状態でした。

しかし予想に反し、患者さんは回復し小康状態を得ました。

 

慢性心不全もあると思い、循環器科に紹介入院しました。

しかし慢性心不全は軽度で、誤嚥性肺炎がメインでした。

2ケ月が経過し、そろそろ次の行き先を決める時期です。

 

お見舞いに行った急性期病院の婦長さんに聞きました。

「この病棟で一番、年長な患者さんですよね?」

「いいえ、違います」との答えにビックリ。

 

「当院では100歳を超えた方でも心臓カテーテルをします」

知りませんでした。

そんな時代なのです。

 

「92歳なんてまだまだ若い」、とも言われました。

冗談もあるでしょう。

しかし急性期病院での話です。

 

顔色は見違えるほど改善していました。

次の行き先は、家か老人病院か介護施設か。

在宅療養は充分可能だと思いました。

 

ご家族は、在宅復帰を希望されました。

しかも次は入院させない、と言われた。

家で看取る覚悟ですと明言されました。

 

平穏死までの道のりは平坦ではないと思いました。

もし前回、在宅を継続していなかったら、その患者さんは、
今頃、確実にこの世にいなかったでしょう。

 

「平穏死」の本を書きあげたばかりですが、

平穏死までの行程は様々だと溜息が出ました。

その患者さんは手を振って見送ってくれました。

 

これから飛行機に乗ります。

次回は、海外から書きます。

さて、どんな旅になるやら。