先日、92歳の認知症の患者さんのお見舞いに行きました。
在宅療養で看ていましたが、誤嚥性肺炎を起こされました。
ご家族は、入院加療を希望しました。
私は、ご自宅に戻ってくることは難しいと思っていました。
それくらい、虫の息の少し手前という状態でした。
しかし予想に反し、患者さんは回復し小康状態を得ました。
慢性心不全もあると思い、循環器科に紹介入院しました。
しかし慢性心不全は軽度で、誤嚥性肺炎がメインでした。
2ケ月が経過し、そろそろ次の行き先を決める時期です。
お見舞いに行った急性期病院の婦長さんに聞きました。
「この病棟で一番、年長な患者さんですよね?」
「いいえ、違います」との答えにビックリ。
「当院では100歳を超えた方でも心臓カテーテルをします」
知りませんでした。
そんな時代なのです。
「92歳なんてまだまだ若い」、とも言われました。
冗談もあるでしょう。
しかし急性期病院での話です。
顔色は見違えるほど改善していました。
次の行き先は、家か老人病院か介護施設か。
在宅療養は充分可能だと思いました。
ご家族は、在宅復帰を希望されました。
しかも次は入院させない、と言われた。
家で看取る覚悟ですと明言されました。
平穏死までの道のりは平坦ではないと思いました。
もし前回、在宅を継続していなかったら、その患者さんは、
今頃、確実にこの世にいなかったでしょう。
「平穏死」の本を書きあげたばかりですが、
平穏死までの行程は様々だと溜息が出ました。
その患者さんは手を振って見送ってくれました。
これから飛行機に乗ります。
次回は、海外から書きます。
さて、どんな旅になるやら。