《0789》 論ずることが「最大の緩和ケア」 [未分類]

今日は、すこし長文になる。
お時間のある時に読んで頂きたい。
今日見たことは、今日書きたいので・・・

● 沈まぬ太陽

昨日は本当に24時間以上、太陽が沈まなかった。
夜ばかりでも困るが、夜が来ないのも本当に困る。
その上に、48時間も寝ないという無茶をした。

数年ぶりの時差ボケだ。
夜中に何度も目が覚めるが、何時か全く分からない。
朝だと思って飛び起きたら、まだ夜中の1時だった。

日本の患者さんからも、電話もかかってくる。
ファーストコールは、私が受けることにした。
セカンドコールを留守番の医師に頼んで来た。

● 歩きタバコのスイス美女たち

寝ボケまなこで、ホテルの朝食を食べていた。
窓の外にはチューリッヒの人々の朝の街頭風景が
まるで映画の画面のように次々と流れている。

スイスの人は、みんなお洒落で格好いい。
少し寒いのでマフラーを巻いている人も多い。
みなさん急ぎ足で、私の前を通り過ぎて行く。

リュックサックを背負った人が多い。
学生さんのみならず、ビジネスマンも多い。
あと気づいたのは、くわえタバコの多さだ。

中学高校生のみならず、若き美女の歩きタバコの
多さにはビックリした。日本と似ている。
ああ、勿体ない、なんて思ってしまった。

空港の免税店には、色とりどりのタバコが並んでいる。
しかしすべてのタバコに「Tabaco kills」と大きくある。
それだけ書かれていても、これだけニコチン中毒が多い。

無作為の1時間の定点観測だから間違いないデータだろう。
終末期議論の前に、スイスのタバコ対策の方が気になった。
ホテルの朝食は、欧州圏にしては比較的美味しく満足した。

実はスイスは2回目。
10年前、2週間かけて鉄道でのんびり各地を回った。
前回は自然相手だったが今回はホテルに缶詰めになる。

スイスは大好きな国。
まず、スイス航空の尾翼にある、赤の十字のマークがいい。
病院を思わせるマークの飛行機が大量にあるのは圧巻だ。

永世中立国というのもいい。
子供の時から日本もスイスを見習えばいいのにと思っていた。
なにかと北欧が福祉のモデルに出るが、スイスもいいのでは。

● 世界24カ国から46団体がチューリッヒに集合

前置きが長くなりすぎた。本題に入ろう。
今回の会議は、終末期医療に関する唯一の世界会議だ。
私は日本尊厳死協会・副理事長としての出席だ。

今回の会議の正式名称は、
The 2012 Congress Wolrd Fedration Right-to-Die societies in Zurich
直訳すると「死の権利・世界連合総会」となるのだろうか。

終末期医療を考える団体が2年に1回、集まり情報交換する会だ。
2004年は日本で開催され前回はオーストラリアで開催された。
1982年から始まった会合で日本が発起人になった組織である。

今回、24カ国から46団体が集まった。
ひとつの国に5つもの団体を有する国もあるためだ。
世界中から各団体の幹部が、約100人集まった。

ヨーロッパ各国、北米、中米、南米、アフリカ、オーストラリア、
イスラエルなど本当にいろんな国の人がチューリッヒに集合した。
ちなみにアジアからの参加国は、日本だけだった。

 

今回、私は日本尊厳死協会の岩尾總一郎理事長
会員である松尾幸雄さんと3人での参加であった。
岩尾先生と松尾さんは英語が堪能だが、私はダメ。

 

初日の今日は、午前中が総会で午後は基調講演のような感じ。
もちろん英語での会議だが、理解できないのは私一人だけだ。
仕方がないので言いたいことを英語のプリントにして配った。

いろんな方がいろんな話をされた。
外国の会議は日本と違って激しい。
私は話したくても話せない。

話せば日本の恥となる上に、聞き取りも大の苦手だ。
印象深い言葉を、思いつくまま書き出してみたい。
まず、患者の権利が主張された。

  1. 医師を選ぶ権利
  2. 医師の指示を受け入れる権利、拒否する権利
  3. 尊厳ある死をする権利

が、患者にはあるという。

当たり前と言えば当たり前かもしれないが。
尊厳ある生があるなら、尊厳ある死もあるはずだとの主張。
そりゃその通りだろう。

● エンドオブライフケアをを論ずることが最大の緩和ケア

エンド・オブ・ライフケアをを論ずることが最大の緩和ケアだと。
これはいい言葉だと思った。
さて、ここからはちょっと過激な言葉を紹介してみよう。

あくまで末期がんなどで死期が迫った時の話だ。
日本で議論中の尊厳死の話しなどどこにもない。
世界には安楽死が認められている国がいくつかある。

まずPhysician assisted death(PAD)という言葉だ。
不治かつ末期の患者さんに医師が関わることによる死。
世界連合ではPADという言葉は普通に使われていた。

今回、Medicalized deathという言葉を初めて聞いた。
医療が介入しての死だ。
飲み薬や注射などによる死という概念だろう。

さらにMedicationという言葉が出てきて、
Death should be medicalizedと、きた。
日本では完全に安楽死であり殺人罪となるだろう。