今日は、すこし長文になる。
お時間のある時に読んで頂きたい。
今日見たことは、今日書きたいので・・・
● 沈まぬ太陽
昨日は本当に24時間以上、太陽が沈まなかった。
夜ばかりでも困るが、夜が来ないのも本当に困る。
その上に、48時間も寝ないという無茶をした。
数年ぶりの時差ボケだ。
夜中に何度も目が覚めるが、何時か全く分からない。
朝だと思って飛び起きたら、まだ夜中の1時だった。
日本の患者さんからも、電話もかかってくる。
ファーストコールは、私が受けることにした。
セカンドコールを留守番の医師に頼んで来た。
● 歩きタバコのスイス美女たち
寝ボケまなこで、ホテルの朝食を食べていた。
窓の外にはチューリッヒの人々の朝の街頭風景が
まるで映画の画面のように次々と流れている。
スイスの人は、みんなお洒落で格好いい。
少し寒いのでマフラーを巻いている人も多い。
みなさん急ぎ足で、私の前を通り過ぎて行く。
リュックサックを背負った人が多い。
学生さんのみならず、ビジネスマンも多い。
あと気づいたのは、くわえタバコの多さだ。
中学高校生のみならず、若き美女の歩きタバコの
多さにはビックリした。日本と似ている。
ああ、勿体ない、なんて思ってしまった。
空港の免税店には、色とりどりのタバコが並んでいる。
しかしすべてのタバコに「Tabaco kills」と大きくある。
それだけ書かれていても、これだけニコチン中毒が多い。
無作為の1時間の定点観測だから間違いないデータだろう。
終末期議論の前に、スイスのタバコ対策の方が気になった。
ホテルの朝食は、欧州圏にしては比較的美味しく満足した。
実はスイスは2回目。
10年前、2週間かけて鉄道でのんびり各地を回った。
前回は自然相手だったが今回はホテルに缶詰めになる。
スイスは大好きな国。
まず、スイス航空の尾翼にある、赤の十字のマークがいい。
病院を思わせるマークの飛行機が大量にあるのは圧巻だ。
永世中立国というのもいい。
子供の時から日本もスイスを見習えばいいのにと思っていた。
なにかと北欧が福祉のモデルに出るが、スイスもいいのでは。
● 世界24カ国から46団体がチューリッヒに集合
前置きが長くなりすぎた。本題に入ろう。
今回の会議は、終末期医療に関する唯一の世界会議だ。
私は日本尊厳死協会・副理事長としての出席だ。
今回の会議の正式名称は、
The 2012 Congress Wolrd Fedration Right-to-Die societies in Zurich
直訳すると「死の権利・世界連合総会」となるのだろうか。
終末期医療を考える団体が2年に1回、集まり情報交換する会だ。
2004年は日本で開催され前回はオーストラリアで開催された。
1982年から始まった会合で日本が発起人になった組織である。
今回、24カ国から46団体が集まった。
ひとつの国に5つもの団体を有する国もあるためだ。
世界中から各団体の幹部が、約100人集まった。
ヨーロッパ各国、北米、中米、南米、アフリカ、オーストラリア、
イスラエルなど本当にいろんな国の人がチューリッヒに集合した。
ちなみにアジアからの参加国は、日本だけだった。
今回、私は日本尊厳死協会の岩尾總一郎理事長と
会員である松尾幸雄さんと3人での参加であった。
岩尾先生と松尾さんは英語が堪能だが、私はダメ。
初日の今日は、午前中が総会で午後は基調講演のような感じ。
もちろん英語での会議だが、理解できないのは私一人だけだ。
仕方がないので言いたいことを英語のプリントにして配った。
いろんな方がいろんな話をされた。
外国の会議は日本と違って激しい。
私は話したくても話せない。
話せば日本の恥となる上に、聞き取りも大の苦手だ。
印象深い言葉を、思いつくまま書き出してみたい。
まず、患者の権利が主張された。
- 医師を選ぶ権利
- 医師の指示を受け入れる権利、拒否する権利
- 尊厳ある死をする権利
が、患者にはあるという。
当たり前と言えば当たり前かもしれないが。
尊厳ある生があるなら、尊厳ある死もあるはずだとの主張。
そりゃその通りだろう。
● エンドオブライフケアをを論ずることが最大の緩和ケア
エンド・オブ・ライフケアをを論ずることが最大の緩和ケアだと。
これはいい言葉だと思った。
さて、ここからはちょっと過激な言葉を紹介してみよう。
あくまで末期がんなどで死期が迫った時の話だ。
日本で議論中の尊厳死の話しなどどこにもない。
世界には安楽死が認められている国がいくつかある。
まずPhysician assisted death(PAD)という言葉だ。
不治かつ末期の患者さんに医師が関わることによる死。
世界連合ではPADという言葉は普通に使われていた。
今回、Medicalized deathという言葉を初めて聞いた。
医療が介入しての死だ。
飲み薬や注射などによる死という概念だろう。
さらにMedicationという言葉が出てきて、
Death should be medicalizedと、きた。
日本では完全に安楽死であり殺人罪となるだろう。