《0795》 こ ろ し て く だ さ い [未分類]

実は、松尾幸雄さん松尾巻子さん御夫妻とご家族の

交通事故以来の出来事は、作家の柳原三佳さんが取材され

「巻子の言霊」(講談社)として出版され、売れています。

 

まぶたの動きでしか意思伝達ができたいため、

「レッツチャット」という意思伝達機での会話です。

幸雄さんは巻子さんが毎日発する言葉を記録しました。

 

「ゆきおさんをあいしています」と何度か言った翌日

「こ ろ し て く だ さ い」と言いました。

幸雄さんは凍りつきました。

 

いわゆる呼吸器外しの事件は国内外に何件かあります。

愛と苦しみから出たであろうこの言葉はとても思い。

幸いこの言葉が出たのはたった一度だけです。

 

幸雄さんは、ご自身も膵臓癌で手術を受けました。

もし自分が巻子さんの介護が出来なくなった時、

もし自分が先にこの世を去るとき、どうすればいいか・・・

 

こうした切ないお気持ちをスライドを交えながら

松尾さんは英語で堂々と講演されました。

世界中の人が息を飲んで聞き入っていました。

 

松尾さんは交通事故の問題より、尊厳死の問題をメインに

お話されました。

20分と限られた時間でしたがそれでも充分な内容でした。

 

今回の出張中、ずっと「巻子の言霊」を手放しませんでした。

読めば読むほど、この本の中に書いてあるテーマが沢山あり

どれもこれも重いものであることに気がついたからです。

 

特に「赦しとは」という章に書かれている「アーミッシュ」という

団体のくだりでは飛行機の中、涙が止まりませんでした。

この本はそのような素晴らしい本です。

 

私のブログを読んで頂いている皆様に自信を持って

お勧めします。是非、是非、読んでくださいね。

いくつかの大きな課題とともに生きる勇気が湧いてきます。

 

最近のリビングウイル事情も分かり易く書かれています。

作家の柳原三佳さんのペンの力も大きいかと思います。

この本のテーマは誰にでも起こり得る普遍的テーマです。

 

帰りの飛行機の中、窓からロシアの大地を眺めながら、

今回、松尾さんにお会いするためにチューリヒまで

来たんだな、と確信しました。

 

EXITもDignitasも勉強になったけれど松尾さんと

お嬢さんのお二人に出会えたことが一番の収穫でした。

数年ぶりの海外出張が終わり、無事帰国しました。