実は、松尾幸雄さん松尾巻子さん御夫妻とご家族の
交通事故以来の出来事は、作家の柳原三佳さんが取材され
「巻子の言霊」(講談社)として出版され、売れています。
まぶたの動きでしか意思伝達ができたいため、
「レッツチャット」という意思伝達機での会話です。
幸雄さんは巻子さんが毎日発する言葉を記録しました。
「ゆきおさんをあいしています」と何度か言った翌日
「こ ろ し て く だ さ い」と言いました。
幸雄さんは凍りつきました。
いわゆる呼吸器外しの事件は国内外に何件かあります。
愛と苦しみから出たであろうこの言葉はとても思い。
幸いこの言葉が出たのはたった一度だけです。
幸雄さんは、ご自身も膵臓癌で手術を受けました。
もし自分が巻子さんの介護が出来なくなった時、
もし自分が先にこの世を去るとき、どうすればいいか・・・
こうした切ないお気持ちをスライドを交えながら
松尾さんは英語で堂々と講演されました。
世界中の人が息を飲んで聞き入っていました。
松尾さんは交通事故の問題より、尊厳死の問題をメインに
お話されました。
20分と限られた時間でしたがそれでも充分な内容でした。
今回の出張中、ずっと「巻子の言霊」を手放しませんでした。
読めば読むほど、この本の中に書いてあるテーマが沢山あり
どれもこれも重いものであることに気がついたからです。
特に「赦しとは」という章に書かれている「アーミッシュ」という
団体のくだりでは飛行機の中、涙が止まりませんでした。
この本はそのような素晴らしい本です。
私のブログを読んで頂いている皆様に自信を持って
お勧めします。是非、是非、読んでくださいね。
いくつかの大きな課題とともに生きる勇気が湧いてきます。
最近のリビングウイル事情も分かり易く書かれています。
作家の柳原三佳さんのペンの力も大きいかと思います。
この本のテーマは誰にでも起こり得る普遍的テーマです。
帰りの飛行機の中、窓からロシアの大地を眺めながら、
今回、松尾さんにお会いするためにチューリヒまで
来たんだな、と確信しました。
EXITもDignitasも勉強になったけれど松尾さんと
お嬢さんのお二人に出会えたことが一番の収穫でした。
数年ぶりの海外出張が終わり、無事帰国しました。