《0805》 「赦(ゆる)し」とは、前に進み生きること [未分類]

アーミッシュに関する書き込み、ありがとうございました。

全く知識が無かった私には、驚きの連続でした。

情報量が増えて、さらに彼らの生き方について考えました。

 

アーミッシュの人の楽しみは?

快楽という概念が無いのかな?

「赦(ゆる)し」と、「怒りや怨念」は、真反対なのか?

 

 

不慮の事故や予想されなかった事件に巻き込まれることは

長い人生の間に、誰でも1度や2度はあることでしょう。

その時どう対処していくべきか、私自身もよく悩みます。

 

松尾幸郎さんは、今日この時も、巻子さんのお世話をされて

いることでしょう。

スイスから帰りどんな気持ちで過ごしているのでしょうか?

 

交通事故被害者の弱い立場の理不尽さを感じて、啓発する。

医療依存度の高い慢性期医療の貧弱さを感じて、啓発する。

日本人のリビングウイルの普及の低さを訴えて、啓発する。

 

「巻子の言霊」を読みながら、幸郎さんの「赦し」とは、

以上のような前向きな行動にあることに気がつきました。

常に前向きなのです。

 

交通事故の加害者に対して、「毎月、1万円ずつを10年間

支払って欲しい」という内容の手紙を出したそうです。

「100万円の見舞金を払いたい」という申し出は断っての手紙。

 

本当は「5000円を20年間」と書きたかったそうです。

しかし20年後は、松尾さんが生きているかどうか分かりません。

加害者は、事故当時19歳ですから生きているでしょうが。

 

幸郎さんは、加害者が自らが引き起こした事故の重大さを

加害者本人の脳裏に刻ませたかったそうです。

4年の執行猶予が終われば、忘れてしまうかもしれません。

 

私は、これが松尾さんの「赦し」に思えました。

 

昨日6月30日は、いろんな意味での区切りの日でした。

私自身の誕生日でもありましたが24時間働いていました。

そして我が街、尼崎市にとっても特別な日でもありました。

 

クボタという会社が引き起こした、アスベスト公害による

被害者救済の集会が開催され、私も参加してきました。

7年前の2005年6月30日は、記念すべき日でした。

 

クボタがアスベスト公害を認めて、患者さんや周辺住民への

補償を発表した記念すべき日でした。

いわゆる「クボタショック」と呼ばれている日です。

http://www.nagaoclinic.or.jp/doctorblog/nagao/2012/07/post-2496.html

 

昨日の尼崎集会にはアスベスト被害関係者が全国から集結。

実はこの問題は、韓国などの東南アジアで現在進行形です。

アスベストを吸ってから40年後もたって発症する病気です。

 

私は、この病気により在宅療養になった患者さんを何人かを

診ていて、独特の症状等、貴重な勉強をさせて頂いています。

得体のしれないこの病気はまず不安を取ることから始めます。

 

尼崎の教訓を全国に、アジアから世界に活かそうとしていた。

被害者の救済のみならず「公害予防」を訴えられていました。

とても意義のある、熱気一杯の集会でした。

 

アスベストや石綿と言っても馴染みの無い方も多いでしょう。

この問題について詳しく知りたい方には、今日発売の漫画本、

「石の綿」・かもがわ出版・1300円を是非お勧めします。

 

神戸大学と京都精華大学の学生、大学院生、教職員25名

が制作された大変な力作です。実によくできています。

できるだけ多くの方に読んで頂きたい「マンガ」です。

 

この集会に参加していて、被害者や家族のお話の中に

怒りとともに、どこかに前向きな行動を感じました。

思わず、松尾さんのことを思い出してしまいました。

 

さて「赦し」と、何でしょうか?

「赦し」とは、前に進むこと、生きていくこと。

私は、そんな風に感じました。

 

みなさんは、どう思われますか?

自分が不慮の事故の被害者になった時、

加害者を、どう赦せますか?