《0806》 加害者と会うということ [未分類]

松尾幸郎さんと著者の柳原三佳さんのメールのやりとり

の中に、こんな会話が描かれています。

加害者を巻子さんに会わせるべきかどうかです。

 

柳原さんは、加害者が巻子さんに面会する方法として

白衣を着せて医療者のふりをして面会させることを提案。

あくまで「加害者」と悟られないようにする配慮、です。

 

加害者は今、22歳の青春真っ盛り。

しかし、彼のためにも一度お見舞いして、「レッツチャット」で

一文字ずつ言葉を綴っている巻子さんの姿を見てもらいたいと。

 

幸郎さんは巻子さんに聞いてみたそうです。

答えは、「あいたくない」とのことでした。

それは当然の答えでしょう。

 

「加害者の謝罪」は、多くの場合、大変難しいものです。

ある交通事故の事例では、被害者の火葬場に加害者を

呼んで骨になった被害者に謝罪をさせた例があるそうです。

 

幸郎さんは、葬儀ならば問題ないかもと考えたそうです。

しかしその場合、子供たちの同意も必要になってきます。

また幸郎さんが先に死ねば子供に引き継いでもらうことにも。

 

話は変わりますが医療事故においても同様な問題が生じます。

この場合、加害者は常にお医者さんということになります。

被害者側は、加害者のお医者さんに会うことを躊躇します。

 

お医者さんも、被害者に会うのは、大変つらいことです。

責められ、なじられ、死ね!と言われるかもしれません。

当然でしょう。

 

しかしそれでも、勇気を出して会って、本当のことを言う事を

信条としていた医師がいました。

「嘘をつかない医療」。

 

大変分かり易いキャッチフレーズです。

新葛飾病院院長の清水陽一先生。

東京医大の先輩です。

 

大熊由紀子さんが、清水先生のことを紹介して頂いています。

是非、ゆっくり読んでいただければ嬉しいです。

http://www.yuki-enishi.com/enishi/enishi-20110806-2.pdf

http://www.yuki-enishi.com/enishi/enishi-20110806-3.pdf

 

残念ながら、清水先生は若くして亡くなられました。

しかしその精神は、「患者・家族と医療つなぐNPO法人

架け橋」として代表の豊田郁子さんに受け継がれています。

http://www.kakehashi-npo.com/%E6%9E%B6%E3%81%91%E6%A9%8B%E3%81%A8%E3%81%AF/%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%95%E3%81%A4/

 

先日、その設立シンポジウムに参加してきましたが、

清水先生の遺志を強く感じました。

話が少し飛躍したかもしれません。

 

しかし加害者の謝罪は、難しいけれども大切なテーマ。

特に医療の場合には、故・清水陽一先生の生き方も

大変参考になると思います。

 

被害者と加害者。

医療事故ならば、患者と医者は、そもそも

一生交わることが無い関係かもしれません。

 

交わるのは『法廷』だけとなることが現実には多いでしょう。

しかし勇気を持って、正直に謝る、加害者と会う、という

2つの壁がクリア―できれば風景が変わるかもしれません。

 

アーミッシュとは言わないまでも、何かの時の参考に

なるかと思い、清水先生を紹介させていただきます。

私自身は到底そこまでできた人間ではありませんが・・・

 

PS)

うっとうしい梅雨空ですね。

体調を崩される方が多いです。

寝るときの衣服がポイントだと思います。