《0807》 全身麻痺の方の療養の場 [未分類]

交通事故で全身麻痺になられた松尾巻子さんは現在

富山県のある病院で療養生活を送られているそうです。

人工呼吸器、横隔膜ペースメーカーと胃ろう生活です。

 

一般に、医療需要が最も高いと言われる患者さんです。

現在の病院に落ち着くまで、病院探しではいろんな苦労

を重ねられたことは、著書に詳しく描かれています。

 

実は私も巻子さんと同じように全身麻痺の患者さんを

何人か在宅医療で診ています。

ALS(筋委縮性側策硬化症)などの神経難病の方です。

 

頻回の気管内吸引をはじめとして1日の中で何度も

医療処置が必要なので、介護者は本当に大変です。

介護保険枠上限遥かに超える家族介護が必須です。

 

実は、在宅療養を諦めて、病院での療養に切り替えられた

方も何人かおられます。

みなそれぞれの事情があるのです。

 

私はALS患者さんの在宅療養の大変さを見てきました。

24時間365日介護する家族のほうが先に倒れてしまう

現実も見てきました。

 

よく在宅、在宅と言われますが、神経難病や交通事故で

全身麻痺になった方の在宅療養の場に関しては複雑です。

介護が大変なので私から在宅療養を勧めることはしません。

 

すべて本人とご家族の意思で在宅療養を選択されています。

もし自宅の近くに、受け入れてくれる病院があるなら、

入院という選択肢は決して悪くないと思います。

 

松尾幸郎さんにも在宅療養について聞いてみました。

幸郎さん自身の年齢と病気があるので在宅は無理と

伺い、そうだなーと思いました。

 

病院療養だから幸郎さんも自分の病気の療養ができて

チューリッヒで私とお会いすることもできたのです。

幸郎さんはお若く見えますが後期高齢者だそうです。

 

実はご縁とは恐ろしいもの。

巻子さんと同じような境遇のある患者さんが

近々、ご自宅に戻ってこられ私が主治医になります。

 

でも介護者は幸郎さんの年齢の半分。

これなら、なんとかなるかもしれません。

我々は、彼らの希望に精一杯寄り添うだけです。

 

今夜は、ALSなどの難病や障害で在宅療養されている方や家族と

彼らを支援する弁護士さんたちの「集会」に呼ばれています。

http://www.nagaoclinic.or.jp/picture_library/seminer/20120703t_bengoshi.pdf

 

東京弁護士会から日本尊厳死協会の代表として呼ばれたのです。

自分自身が受け持っている患者さんに謝りながら上京します。

 

多くの神経難病患者さんやご家族と東京という場で

触れ合い、最終電車で帰阪する予定です。

こんな私でも、待っていてくれる患者さんがいるからです。

(つづく)