《0081》 認知症は、中核症状と周辺症状に分ければわかりやすい [未分類]

認知症の方のご家族は、厳しい現実と、日々対峙しなければなりません。
お金を盗まれた、印鑑がなくなったなどと騒ぎ、2回昼食を摂ることも。
そんな驚くことが毎日続きます。
さらに、徘徊や暴言や不潔行動があると、ご家族は大混乱してしまいます。

私は、「中核症状」と「周辺症状」に分けて考えてみましょう、と提案します。
「中核症状」とは、近い記憶そのものが保てないこと。
「周辺症状(BPSD)」とは、徘徊、幻覚、暴言など。

お薬も、2系統に分けて考えます。
「中核症状」に対する薬は、塩酸ドネペジル1種類のみです。
「周辺症状(BPSD)」に対する薬は、抑肝散、クエチアビン、リスペリドンなど。

二つに分けたからといって、急に何かが変わるわけではありません。
ですが、混乱しがちな、ご家族の気持ちが少し落ち着くように感じます。

認知症介護のコツは、「周辺症状(BPSD)」への対応にあることを説明します。
「周辺症状(BPSD)」のコントロールが上手くいけば、在宅療養も可能となります。
医者の腕の見せ所は、ここにあるとも言えましょう。
そのために「医療」が必要だと言ってもいいと思います。

ただし、「周辺症状(BPSD)」の受け取り方は、ご家族によって様々ですから、
よく相談してから慎重にお薬を調節します。
時に、お薬を全く望まないご家族もおられます。

とはいっても、修羅場のような場面に遭遇する時があります。
「入院」も「施設入所」もすぐには無理ですから、「自宅に入院している」と考え、
毎日往診しながら、お薬の微調節をします。
それ以外に方法がありません。

嵐が過ぎ去れば、何事もなかったかのような静寂が訪れますよ、と説明します。
そうこうしながら、年単位でゆっくりと病気が進行します。
やがて、会話が少なくなり、動きが少なくなり、食事量が少なくなります。
ここで、一つの選択を迫られることになります。
「胃ろう」です。