《0820》 巻子さんのスピリチュアルペイン [未分類]

昨日、松尾巻子さんを富山の病室に訪ねました。

何度も読んだ本「巻子の言霊」の巻子さんです。

金沢から富山は特急に乗ればすぐの距離でした。

 

巻子さんは、全身麻痺のため人工呼吸器で寝たきり。

瞼の動きでしか意思の伝達ができません。

私が挨拶をするとこちらを向いてくれました。

 

もの凄い「目力」。

大きな目でしっかり見つめて頂きました。

失われた四肢機能を全て目が代わりに果たしている感じ。

 

大きな目で見つめられたあと、確かに笑ってくれました。

表情筋は少し動くのです。

素敵な笑顔でした。

 

巻子さんの手を触ってみました。

白く柔らかい手です。

「触っているの、分かりますか?」と質問には、「NO」。

 

ビッシリと綴られた幸郎さんの介護日誌は10冊目でした。

事故以来、1日1日を必死で2人三脚で生きて来た様子が

グッと迫ってきました。

 

そしてレッツチャットを使って時々、巻子さんから発せられる

言葉は、「巻子の言霊」という別の冊子に記録されていました。

絞りだされるような短い言葉は「言霊」という表現がピッタリ。

 

百聞は一見にしかず、言霊の重みを感じました。

現在、某テレビ局が「巻子の言霊」のドラマを制作中だそうです。

完成すればできるだけ多くの人にこの夫婦の物語を知って欲しい。

 

「スピリチュアルペイン」、という言葉があります。

「魂の痛み」とか「霊的な痛み」と訳されています。

しかし、どこか分かったような分からない言葉です。

 

巻尾さんは「体の痛み」を全く感じません。

しかし私は、彼女の「心の痛み」を感じました。

彼女の魂が何か叫んでいるような気がしました。

 

咄嗟に、スピリチュアルペイン研究で有名なある大学教授の

お顔が頭に浮かびました。

彼ならこの巻子さんの痛みをどう感じて、何をするだろうか。

 

そういえば、夫の幸郎さんがチューリッヒで行った

講演のテーマは「The message from Makiko’s soul」

だったことも思い出しました。

 

その後、幸郎さんと話していると、実は彼も今日、

スピリチュアルペインのことを考えていたそうです。

そしてなんと私と同じ教授の本の話をされたのです。

 

ここでもシンクロニシテイ。

 

夕方、富山の回転寿司に連れて行ってもらいました。

富山の海の幸を堪能しました。

ホタルイカが旨かった。

 

別れ際に、幸郎さんから横隔膜ペーシングの論文を頂きました。

よく見るとその論文の著者は、私がよく知っている医師でした。

ご縁があるとは凄いことだと、あらためて思いました。

 

夕方、富山から羽田行きの飛行機に乗りました。

まだ雪を抱く立山連峰の上空を飛んで行きました。

ちょうど1ケ月前、同じような光景を見たことを思い出しました。

 

スイスのチューリッヒからイタリアのフィレンツェに向かう飛行機。

その窓から見た荘厳なアルプスの光景を見事に思い出しました。

そのフィレンツエで幸郎さんに会い、巻子さんのことを知ったんだ。

 

さて富山発のこの飛行機は、本当に面白い経路を飛んで行きます。

千葉、幕張、浦安と、常にスカイツリーを見ながら東京湾を旋回。

夕陽を背景にした都心の高層ビル街は宗教画のように荘厳でした。

 

17時05分富山発羽田行きは、右側座席。

チューリッヒ発フィレンツェ行きは左側座席。

ああ、飛行機が大好きなことがバレてしまいました。