この2日間、Generalist Japan 2012というイベントに参加。
総合医、総合診療、家庭医などを考える第一回目の会合。
私の知人が代表を務めるNPO法人が主催する設立集会。
私のクリニックの入り口にある看板の裏側には、
「病だけではなく人を診る医療」、その横には、
「Patientから Personへ」、とも書いてあります。
この想いは実は、30年以上変わっていません。
医学部1年生の時から、いや医学部を志した時からそう。
だから正確には、35年間、同じ想いで生きてきました。
しかし今さら「第1回目・・・」と題してこんなイベントを
やらなければならないという事自体どれだけ出来ていないか。
ちょっと皮肉な言い方をすればそんな気持ちで顔を出しました。
全国から若いお医者さんが、50~60人参加されていました。
15日は、前夜祭として懇親会とトークショーが行われました。
この世界で有名な大物医師たちが、壇上に並んでおられました。
懇親会の途中から「シネ・メデイケーション」が始まりました。
映画を題材にして、医療を語りあう試みのようです。
3本の映画の名場面を、各10分ほど見ました。
1本目は、鶴瓶さんが主演した映画「デイアドクター」。
無医村に赴任した鶴瓶医師が迷診断で人の命を救うシーン。
実は、鶴瓶医師は無免許、つまりニセ医者だったのです。
2本目は、黒沢明監督の「赤ひげ」のある場面。
三船敏郎扮する赤ひげ医師が加山雄三扮する研修医に語るシーン。
100年前も現代も医療の本質が変わらないことが描かれている。
3本目は「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
この映画のあるシーンが10分間だけ上映されました。
今日は、実はこれを言いたくてここまで書いているのです。
でも詳しいことは書かない方がいいでしょう。
私は泣きました。
若い医師も泣いていました。
AKBカフェの前に来て、まさかクレヨンしんちゃんで泣くとは・・・
テーマは、家族愛と人生の儚さと臭い、と受け取りました。
クサイ臭いの中に、生活があり人間がある。深い映画です。
この映画で泣ける医者が、総合医じゃないかなと思いました。
偉い先生は、「世の中、こんな温かい家族だけだと思ったら
大間違いだぞ」なんて若いお医者さんに説いておられました。
シネ・メデイケーション
初めて聞いた言葉なので間違っているかもしれません。
しかし考えてみれば医療を題材にした映画が沢山あります。
その中には実は沢山の重要なメッセージが込めらています。
「おくりびと」しかり。
「白い虚塔」しかり・・・
観る医者も、観る患者も同様に考え、癒され、教えられる。
たまには難しい議論は置いといて映画から学んでみようかと。
ほろ酔い気分もありそんな気持ちになった秋葉原の夜でした。
そして翌日は、第一回Generalist Japan 2012の勉強会でした。
(つづく)