《0824》 労災としての胆管がん [未分類]

印刷会社での「胆管がん」が、問題になっています。

胆管がんは、がんの中でも非常に厳しい部類のがんです。

在宅医療でも時々、お世話をする病気ですが経過が早い。

 

肝臓がん、胆のうがんと間違いそうになることもあります。

しかしそれぞれに個性があり、立ち振る舞いも違います。

胆管がんは、本当に厄介な病気です。

 

印刷会社の特定の化学薬品が原因であることが分かっています。

「病気の原因は、職場か家庭にあり」の格言どおりです。

私は患者さんの職業を必ず聞きます。

 

一期一会の風邪であっても根掘り葉掘り聞きます。

しつこくて、怒り出すひともいます。

研修医には、それくらいしつこく聞け、と指導しています。

 

尼崎には、アスベスト中皮腫という公害病があります。

アスベストを吸って40年も経ってから発症する病気。

公害は、忘れたころにやってきます。

 

さて、今回の胆管がんは、労働災害です。

本来は、職場環境を産業医が巡回し管理するべきです。

しかし、おそらく産業医がいなかったのでしょう。

 

50人未満の事業所は産業医雇用の義務から外れます。

そうした零細企業のために、例えば尼崎市産業医会は

無料で企業に出前し健康相談を行っています。

 

しかし零細企業には、なかなか産業医の目が入りにくい。

企業側も、産業医が入ることをよく思わないことも多い。

そんな中で起きた労働災害だったのでは、と想像します。

 

労働災害での時効は、死亡から5年だそうです。

しかし因果関係が分かったのが最近ですから、

この「時効」は、見直すべきだと思います。

 

尼崎ではアスベスト認定を巡って困っている人がいます。

全国の公害訴訟でも、同様の問題が長く続いています。

こうした問題は、長い目で、直視することが大切です。

 

労働災害の予防は、快適な職場環境を維持することから。

外部の目でチェックしなければ分からない事も多いです。

今回の教訓を全国の職場環境に活かして欲しいものです。

 

世の中に産業医や労働衛生コンサルタントという職種が

あることを、今回、是非知っていただきたいと思います。

私もそんな視点でいくつかの企業を職場巡回しています。

 

平穏死だけ、やっているわけではありません。

病気の予防や治療、産業医業務、学校医業務、

そして教師もやっています。

 

なんでも医、なのです。

 

PS)

拙書、「平穏死・10の条件」は、お陰さまで

発売3日目に、重版が決まりました。

みなさまに御礼を申し上げます。

 

某ネットランキングでは、30位前後に上がりました。

あのAKBの水着集が目下のライバルです。

「AKB」と「平穏死」では、とても勝ち目はありませんが。(笑)