印刷会社での「胆管がん」が、問題になっています。
胆管がんは、がんの中でも非常に厳しい部類のがんです。
在宅医療でも時々、お世話をする病気ですが経過が早い。
肝臓がん、胆のうがんと間違いそうになることもあります。
しかしそれぞれに個性があり、立ち振る舞いも違います。
胆管がんは、本当に厄介な病気です。
印刷会社の特定の化学薬品が原因であることが分かっています。
「病気の原因は、職場か家庭にあり」の格言どおりです。
私は患者さんの職業を必ず聞きます。
一期一会の風邪であっても根掘り葉掘り聞きます。
しつこくて、怒り出すひともいます。
研修医には、それくらいしつこく聞け、と指導しています。
尼崎には、アスベスト中皮腫という公害病があります。
アスベストを吸って40年も経ってから発症する病気。
公害は、忘れたころにやってきます。
さて、今回の胆管がんは、労働災害です。
本来は、職場環境を産業医が巡回し管理するべきです。
しかし、おそらく産業医がいなかったのでしょう。
50人未満の事業所は産業医雇用の義務から外れます。
そうした零細企業のために、例えば尼崎市産業医会は
無料で企業に出前し健康相談を行っています。
しかし零細企業には、なかなか産業医の目が入りにくい。
企業側も、産業医が入ることをよく思わないことも多い。
そんな中で起きた労働災害だったのでは、と想像します。
労働災害での時効は、死亡から5年だそうです。
しかし因果関係が分かったのが最近ですから、
この「時効」は、見直すべきだと思います。
尼崎ではアスベスト認定を巡って困っている人がいます。
全国の公害訴訟でも、同様の問題が長く続いています。
こうした問題は、長い目で、直視することが大切です。
労働災害の予防は、快適な職場環境を維持することから。
外部の目でチェックしなければ分からない事も多いです。
今回の教訓を全国の職場環境に活かして欲しいものです。
世の中に産業医や労働衛生コンサルタントという職種が
あることを、今回、是非知っていただきたいと思います。
私もそんな視点でいくつかの企業を職場巡回しています。
平穏死だけ、やっているわけではありません。
病気の予防や治療、産業医業務、学校医業務、
そして教師もやっています。
なんでも医、なのです。
PS)
拙書、「平穏死・10の条件」は、お陰さまで
発売3日目に、重版が決まりました。
みなさまに御礼を申し上げます。
某ネットランキングでは、30位前後に上がりました。
あのAKBの水着集が目下のライバルです。
「AKB」と「平穏死」では、とても勝ち目はありませんが。(笑)