《0825》 死ぬまで喫茶店 [未分類]

何十年も夫婦で喫茶店をしている患者さんがいます。

ご夫婦とも、重大な持病をお持ちです。

しかし治療を受けながら喫茶店を続けておられます。

 

もう止めた方がいいんじゃないか。

相談されて、そう答えたこともありました。

ある日、往診依頼があり、診にいきました。

 

なんとカウンターの中でコーヒーをたてていました。

膝が悪く外出はできませんが、狭いカウンター内の

仕事なら、短時間なら可能です。

 

その喫茶店は、夕方になる前に閉まってしまいます。

なじみ客のための憩いの場、という雰囲気です。

閉店前に訪問すると、コーヒーを入れてくれました。

 

旨い!

さすが、この道、何十年。

お世辞ではなくそう感想を言いました。

 

来週は、しばらく店を閉めると言われました。

一方が、入院加療するのです。

1人では店を開けることができないのです。

 

残る方の在宅医療を依頼されました。

カウンターでコーヒーを入れた後、血圧を測りました。

お客さんは笑っているけど、本人は大喜びです。

 

実は、職場に往診することはよくあります。

死ぬ直前まで職場で寝ていたひともいました。

それが、その人の居場所なのです。

 

80代半ばでも立派に仕事をしている。

介護認定を受けながらも、職業がある。

そんな老人もおられるのです。

 

「自分のできる範囲で働きたい」

そう言う高齢者が実に沢山おられます。

自営業者はその点、恵まれていますね。

 

定年で仕事を辞めて悠々自適で過ごす自由も

死ぬまで自営業で働く自由もあると思います。

みなさんは、どちらでしょうか?