週末は、いろんな講演をしていることが多いのですが、
いつもポケットの中の携帯電話が振動しっぱなし、です。
まさか講演中に電話を見ることもできず冷や汗ものです。
講演が終わって司会者が何か喋る時が、チャンンス。
留守電を聞くと、いっぱい録音されています。
発熱、転倒、そして「呼吸停止」などです。
なぜか講演中に在宅患者さんがよく亡くなります。
確率的に高いのです。
しかしそうした患者さんは、他の医師が看取ってくれます。
問題は、日曜日の午後などです。
この時間帯は私の守備範囲なのです。
先日も午後4時、講演の真っ最中に息を引き取られました。
懇親会を終えて、到着したのが、午後9時でした。
その患者さんは、天涯孤独で家族もおられません。
死亡診断を言い渡す相手が一人もいませんでした。
最近、そのようなことが増えています。
私の手が空き次第、駆けつけて、死亡診断書を書きます。
死亡時刻は、施設の職員が見届けた「午後4時」で書きます。
実は、本当はそこに行かずに診断書を書いてもいいのです。
えー、と思われるひともいるでしょうが、
医師法20条という法律にはそう書いてあります。
この法律は24時間以内に診察しておれば患者さんがその病気
で亡くなった場合そこに行かなくても死亡診断書を発行できる。
そう謳った法律です。
昭和23年7月30日に公布されています。
しかし、現場はかなり混乱したのでしょう。
半年後には、追加説明の文章が出ています。
在宅や施設の看取りを、一般市民や普通のお医者さんが
恐れるのは、警察沙汰になるのではないかと思うからです。
しかし医師法20条はおおらかな看取りを保障しています。
講演中の携帯電話は気になりますが、
看取りに関しては問題ないのです。
問題は、転倒による骨折なのです。(つづく)