《0827》 講演中の「呼吸停止」 [未分類]

週末は、いろんな講演をしていることが多いのですが、

いつもポケットの中の携帯電話が振動しっぱなし、です。

まさか講演中に電話を見ることもできず冷や汗ものです。

 

講演が終わって司会者が何か喋る時が、チャンンス。

留守電を聞くと、いっぱい録音されています。

発熱、転倒、そして「呼吸停止」などです。

 

なぜか講演中に在宅患者さんがよく亡くなります。

確率的に高いのです。

しかしそうした患者さんは、他の医師が看取ってくれます。

 

問題は、日曜日の午後などです。

この時間帯は私の守備範囲なのです。

先日も午後4時、講演の真っ最中に息を引き取られました。

 

懇親会を終えて、到着したのが、午後9時でした。

その患者さんは、天涯孤独で家族もおられません。

死亡診断を言い渡す相手が一人もいませんでした。

 

最近、そのようなことが増えています。

私の手が空き次第、駆けつけて、死亡診断書を書きます。

死亡時刻は、施設の職員が見届けた「午後4時」で書きます。

 

実は、本当はそこに行かずに診断書を書いてもいいのです。

えー、と思われるひともいるでしょうが、

医師法20条という法律にはそう書いてあります。

 

この法律は24時間以内に診察しておれば患者さんがその病気

で亡くなった場合そこに行かなくても死亡診断書を発行できる。

そう謳った法律です。

 

昭和23年7月30日に公布されています。

しかし、現場はかなり混乱したのでしょう。

半年後には、追加説明の文章が出ています。

 

在宅や施設の看取りを、一般市民や普通のお医者さんが

恐れるのは、警察沙汰になるのではないかと思うからです。

しかし医師法20条はおおらかな看取りを保障しています。

 

講演中の携帯電話は気になりますが、

看取りに関しては問題ないのです。

問題は、転倒による骨折なのです。(つづく)