《0829》 教授先生の在宅看取り失敗報告 [未分類]

先日、ある医学研究会に参加しました。

難しい研究の話を聞きながら寝そうになりました。

しかし途中で急にグループホーム(GH)の話に。

 

アルバイトでGHの訪問診療をやっているとのこと。

「へー、大学教授がGHで診察をする時代なんだ」と

変に感心しながら聴いていました。

 

そしてなんとGHでの排泄に関する研究を発表されました。

衰弱しても、手で引いてトイレに行かせると長生きする?

この話あたりから、身を乗り出して聴いてしまいました。

 

さらになんと、この教授は在宅医療までやっていたのです。

自分が看取った10人の患者さんについて話し始めました。

そして講演の最後に看取りの失敗例を正直に話されました。

 

終末期の患者さんがポータブルトイレで用を達している間に

絶命したそうです。

配偶者は、慌てて救急車を呼びました。

 

教授の携帯電話にも連絡があり、自分の大学病院の

救命救急部で患者さんと配偶者に会われたそうです。

しかしその時は、既に救急医の死亡診断の後でした。

 

さて問題は、これからです。

 

救急医は死亡後しか診ていないので死亡診断書は書けないと。

そこに警察がドカドカ入ってきて取り調べが始まったそうです。

その教授と配偶者は、別々の部屋に移され「事情聴取」が開始。

 

教授はしばらくして、「帰っていい」と言われたそうです。

しかし配偶者は事情聴取の後、自宅に警察に連れて行かれた。

なんと「現場検証」のためだそうです。

 

結局、配偶者は大変辛い思いをされました。

教授の結論はこんな感じでした。

「老老夫婦だけの場合の在宅看取りは難しい」

 

私はのけぞって、こけそうになりました。

何百人もの真面目なお医者さんは黙って聞いています。

たまらずに少しだけコメントしましたが無反応でした。

 

医師法20条と21条の誤解が、ここにもあった。

その教授が死亡診断すれば、警察は関係無かった。

しかしそれは法律に少々自信が無いとできない?

 

多くのお医者さんは、法律を誤解しています。

 

一 24時間以内に診ていないと死亡診断書を書けない

一 24時間以内に診ていないと警察に届けなければならない

 

この2つは、完全な誤解です!

 

誤解の都市伝説です。

どうかこのブログを読んで頂いているみなさまは、

これが間違いであることを知っておいてください。

 

さて、国会で議論中の社会保障・税一体改革法案ですが、

「社会保障・税一体改革推進法案」の中、第6条の三には、、

以下のように書かれています。

 

「医療の在り方については、個人の尊厳が重んぜられ、

患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、

特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる

環境を整備すること」

 

この文言をゆっくり噛みしめて読んでみてください。

その割に、法律の周知が不十分だと思いませんか?

医者も知らない法律を、市民が知るはずもない・・・・

 

実は、本日の午前10時5分~55分にかけて、

私の医局の後輩の国会議員が、以上の論点について

国会質疑を行う予定です。

 

10時40分あたりから、法律に関する質問だと思います。

 

おそらく「平穏死」に関する国会質疑ははじめてではないか。

テレビの生中継を見れないひとは、後で、ネットでゆっくり

見てくださいね。参議院で検索してください。

 

医学会のガイドライン整備と、法律の整備と周知は、

社会保障・税一体改革の両輪であるべきだと思います。

最後はちょっと堅い話になって、スミマセン。