《0833》 いわき市から南相馬市へ [未分類]

昨日、いわき市のAさんご夫婦宅を訪ねました。慰問です。

震災直後、私のクリニックの隣に避難され、知り合いました。

津波でご自宅が流され、大切なものをほとんど失われました。

 

現在は、狭いアパートに住んでおられました。

探して取り出した、わずかのお気に入りのものと一緒でした。

ご夫婦で穏やかに暮らしておられる様子に少し安心しました。

 

3人で一緒に、小名浜漁港周辺をドライブしました。

素晴らしいリゾート地区であることがわかりました。

奥さんは「ドライブなんて何年ぶりでしょうか」と。

 

津波被害にあった自宅には、1度しか行っていないと。

実は阪神大震災も時も、これと同じことを経験しました。

現在でも怖くて元の自宅に行けないひとがどれだけいるか。

 

1年前、この御家族一家と約束しました。

「かならず、いわき市に行くからね」

しかし約束を果たせずに今日まできました。

 

しかしやっと約束を果たすことができました。

そしてもう一軒のお家にもお邪魔し約束を遂行しました。

いわき市は信じられないほど大きな市だと実感しました。

 

この御家族は何度も言ってくれます。

「尼崎は良かった。また行きたい」と。

お世辞でも何でも、うれしいものです。

 

いわき市の海岸線の幹線道路には「この先、南相馬」という

標識がいたるところに出ています。

「このまま北に走れば、本当に南相馬に着けるのか?」

 

「まさかそんなことはないだろう」

しかしもしかしたら?という錯覚を起こさせる標識です。

何人かのいわき市民に「本当に行けるか」聞いてみました。

 

みなさん、分からない、との答え。

自分の生活で必死なのでしょうか。

近隣の町の情報はあまり詳しくないようです。

 

大きな警察署に寄って聞きました。

警察で道を尋ねるのは50年ぶり?

数人の警察官が集まってきました。

 

みなさん「海岸沿いに南相馬に上がれない」では

意見は一致しました。

しかし、教えてくれたルートはみんな違いました。

 

1)地道をうねうねと迂回するルート。

2)磐越道を三春あたりで降りてそこから115号線のルート

3)東北道を福島西ICで降りて福島市内から115号ルート。

 

道路を護るプロの意見がこれほど違うことに驚きました。

 

一番大周りになるが一番時間短縮になりそうな3を選択しました。

しかし福島市中心部が花火大会と重なり相当時間がかかりました。

結局、いわき市小名浜から相馬まで5時間を要しました。

 

5時間もあれば、東京から九州まで行ける時間。

飛行機ならアジアの各国に行ける時間。

そんな時間がかかるとは、思いもしませんでした。

 

原発事故がなければ、2時間以内だったでしょう。

しかし現実には、その2倍以上の時間と

高速代、ガソリン代を要しました。

 

原発事故の影響を肌で感じました。

同時に福島県の大きさも、再び実感しました。

空白地帯の存在を忘れてはならない、と強く思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年半たっても、時間は止まっていました。