昨日は、司法書士さんを対象とした成年後見人の研修会
の講師を務めました。
在宅医療の現状と課題についてお話ししました。
そもそも司法書士さんの役割を知らずに引き受けました。
不動産の売買の時などに来て頂くのが司法書士さんです。
公証役場におられるかと思いきや、あれは公証人でした。
認知症や精神障害の方の、診断書を頼まれることがあります。
家庭裁判所から、分厚い書類が届きます。
数ある書類の中でも、最も時間がかかる書類です。
自己決定能力の有無を記載する項目が沢山あります。
どう評価するのか、なぜそう判断するのかなど、
根掘り葉掘り聞かれる書類です。
この書類で、判断能力の有無を判定されると、あとは
成年後見人の選定に入ります。
家族や司法書士さんが後見人に決まります。
重症の認知症の在宅患者さんには後見人がついています。
時々いろんな相談を持ちかけられたり、持ちかけられたりします。
食べられなくなったとき胃ろうの相談をすることもあります。
本人の意思確認ができずに困ることがよくあります。
元気な時に「リビングウイル」を残していてくれたらなあ、
そう思う時が時々あります。
リビングウイルは書面で残さないと意味がありません。
日本尊厳死協会に入会するのが、最も簡単な方法です。
年会費2000円で、リビングウイルを表明できます。
米国は約半数の人がリビングウイルを表明しています。
しかし日本では、わずか0.1%です。
もう少しリビングウイルを知って欲しいと思います。
このブログで何度も書かせて頂いたように、医師法20条
について時間をかけて、司法書士さんに解説しました。
みなさん「ほんまかいな?」という顔で聞いておられました。
ほんまです!
質問タイムには、このような質問を頂きました。
「終末期の患者さんの主治医が1週間の夏休みを取るけど
その間に在宅患者が亡くなれば警察沙汰になるのでしょうか?」
代理の医師に頼めば大丈夫です。
その医師の最初の往診がたとえ看取り往診であっても
普通に死亡診断書を書けます。警察は不要です。
認知症で在宅療養する方が増えています。
医師法20条の周知や在宅医療制度の理解が、司法書士さんや
国民全体に必要であると、痛感しました。