暑い夏も、高齢者の転倒があとをたちません。
毎日、どこかで誰かが転倒し、骨折しています。
高齢者の転倒・骨折は、慎重な対応が求められます。
昨日も98歳の大腿骨頚部骨折の相談を受けました。
認知症でグループホームに入所中に転倒。
救急車で入院させられたそうです。
それまではなんとか手押し車で歩いていたそうです。
さて、この高齢者の手術をすべきかどうかという質問。
大変な難問です。
施設側からは、もし手術をしないなら出て行ってもらうと
言われ、子供さんたちは困っておられました。
グループホームは元気な認知症の施設なのです。
先日も、97歳の手押し車歩行の認知症の方が転倒しました。
その方は、レントゲンを撮ると見事な恥骨骨折でした。
骨がパキンと折れて、完全に「段違い」になっています。
病院送りかどうか、御家族と私も大変悩みました。
連日、2回の話し合いを持ちました。
その結果、寝たきりになっても入院させない結論に至りました。
翌々日に訪問すると、その患者さんはトイレまで歩いていました。
1週間後に訪問すると、なんと、庭の水撒きをしていました。
骨折前とほぼ変わらない生活ができているのです!
もちろん最初の骨折の時点で整形外科医にも相談しています。
その先生は、その後、自宅まで訪問してくれています。
「信じられない」とは、その先生のお言葉。
ズレた恥骨の端っこが、腸管に穴を開けないか心配です。
しかしその高齢者は、「痛い」のひとことも言いません。
認知症のおかげで痛覚も鈍麻しているのでしょうか。
理屈はともかく、骨折して手術をしなくても、自然に
機能回復したひとを何人か経験しました。
その整形外科の先生はそんな人は初めて見たとおっしゃいました。
人間の回復力は凄いです。
オリンピックも凄いですが、
老人の回復力も凄い!
回復しないものはどんな一流病院でも回復しないが、
回復する人は、何もしなくても勝手に回復する。
日々の、在宅現場はいろんなことを教えてくれます。