《0086》 「死を包む言葉」を語る谷川俊太郎さん [未分類]

7月10、11日の2日間、鳥取市で開催された
「第18回日本ホスピス在宅ケア研究会全国大会」に、18名のスタッフたちと
ともに参加してきました。
メインテーマは、「いのちのおわりにみみをすます」。

私も講演に、座長に、そして聴衆として、充実した2日間を過ごしました。
本研究会は、「ホスピスマインド」を医療者と市民が一緒になって考える会です。
4000人を超える参加者で、どの会場も超満員でした。

最終日の午後は、「死を包む言葉」というテーマで、詩人の谷川俊太郎氏、
玄侑宗久氏、よしもとばなな氏、徳永進先生、そしてサプライズゲストの一青窈氏が、
3時間近く、「死」について語るシンポがありました。

死んだらどうなるのか?
あの世に帰るのか?
あの世はあるのか?

谷川俊太郎氏自らが、いくつか詩を朗読しました。

「僕らは死者と友達になりたい……
自分が死んだら自分の臓器にお礼を言おう……
心臓さん、腎臓さん、肝臓さん、ちんちんさん……にありがとうと」。

そして「なぜ胃や腸や肛門には挨拶しないのか」と、突っ込まれていました。
福岡伸一氏が、近著「動的平衡」の中で、「胃腸は内臓ではなく竹輪の穴に
過ぎない」と言っていたのを思い出しました。

「どこでどうやって死にたいか?」とのテーマには、
谷川氏は、詩を読みながら死にたいと。
よしもと氏は、死は出産と似ていて超個人的なものだと。
一青氏は、海辺の波打ち際で倒れて……など。

「死」についてだけで、この豪華メンバーで話す機会は今回限りでしょう。
本当に夢のような時間でした。

聴きながら、尼崎で待っている、多くの認知症の方を思い出しました。
毎週、在宅医として1人、2人の死に確実に接しています。
死はまさに日常ですが、あまり大きな声では話せません。
しかし今回は、タブーなしの「死」ずくしのシンポでした。

この研究会に参加するたびに、明日からの活力をもらいます。
生きている喜びと、死という不思議。
「いのちのおわりにみみをすます」我々も、もっとそのことを意識しようと思いました。