《0880》 慢性期医療の時代 [未分類]

みなさんは「慢性期医療」という言葉を聞いたことがありますか?

昨日は、理事を拝命している「日本慢性期医療協会」の
設立20周年、成人式のパーティーに参加しました。
多くの医療関係者、政治家、官僚が参加して頂き盛会でした。

急性期医療という言葉はよく聞くが、慢性期医療という
言葉など聞いたことがない、という方がおられるかもしれません。
確かに、これまでの日本の医療は、急性期医療が中心でした。

しかし日本はすでに未曾有の高齢化社会に突入しています。
2025年には、現在の団塊の世代が後期高齢者となり、
要介護の方が、750万人になると予測されています。

そのうち。90%の人が慢性期医療の対象患者さんです。
良質な慢性期医療の提供体制の構築は、
もはや、待ったなしという状況です。

脳梗塞や心筋梗塞、あるいは怪我や骨折を想定してください。
手術や処置は、2週間程度で終わります。
その後はリハビリなど、回復期の医療に移行します。

その後、慢性期病院や在宅療養に移行します。
すなわち、今後の医療の大半は、慢性期医療なのです。
あまり意識しないかもしれませんが、そうなのです。

私が毎日やっている外来診療も、大半は慢性期医療です。
高血圧、糖尿病、認知症・・・
その中に、風邪や尿管結石の急性疾患が少し混じるのです。

「良質な慢性期医療が無ければ日本の医療は成り立たない」
これが、日本慢性期医療協会のスローガンです。
この協会には病院のみならず私のような開業医も所属します。

「地域という病院」という視点から見れば、在宅も病床です。
もはや病院、診療所という区別は、
昔ほど大きな意味を持たなくなりました。

在宅療養は、自宅という病室で療養すること。
自宅が病室なのです。
そしてそこで必要とされるのは慢性期医療が大半なのです。

かつての療養病床は、俗に老人病院と呼ばれていました。
たしかに「姥捨て山」との感も否めませんでした。
しかしその療養病床も大きく変わろうとしています。

武久洋三会長の近著「よい慢性期病院を選ぼう」
大変有益な本です。
私も少しだけ登場します。

是非ご一読をお勧めします。
良質な慢性期医療の提供に日々研鑽を重ねている
多くのスタッフ達がいることも知って欲しいです。

今日も一日、慢性期医療に精を出して頑張ります。