《0893》 在宅医の選び方 [未分類]

拙書『平穏死 10の条件』の読者ハガキが出版社の編集部に
毎日何十通も寄せられます。
うれしい悲鳴ですが、一つ一つの相談に充分にお答えできません。 

そこで今日からしばらくそのハガキに寄せられた相談に、
この場をお借りして、チンタラ回答させて頂きたく存じます。
質問はすべて原文に忠実、決してヤラセではありません。 

【相談1】「インターネットで数件ヒット。在宅医はどのように選べばいい?」 

今まで病気の治療は病院に行くしかないと思っていましたので、
平穏死 10の条件』を読んで、在宅医療がどこにいても受けられると知り、
私の考えは一変しました。ありがとうございました。 

しかし、先生が本で書かれているようにネットで調べてみますと、
確かにいくつか近くにありましたが、何を決め手にここから選んで
いいのかわかりません。 

できれば、長尾先生のような医師に在宅で診てほしいのです。
どのように選べば失敗がないのかポイントを教えてください。
(相談者・神奈川県/81歳男性) 

【回答】
たしかに在宅医と言ってもいろんなお医者さんがおられます。
なにせ10軒に1軒以上の開業医が、在宅療養支援診療所の
看板を上げている時代です。 

独断で、在宅医選びの5つのポイントを挙げてみます。

1)地理的に近いこと。
遠くの名医より近くの親切なお医者さんです。
近ければ近いほどいい。
すぐに来てくれるからです。 

2)往診をしてくれるか。
在宅医療は、訪問診療と往診から成り立っています。
最近、訪問診療だけして往診をしない在宅医がいます。
あるいはコールセンターのお姉さんが電話に出るだけ。

また「勝手に救急車を呼んでくれ」という在宅医。
これは大変困った在宅医です。
在宅医療の要は往診にあります。

3)看取りの実績を聞いてみる。
在宅看取り数を役所に報告することになっています。
勇気を出して、年間看取り数を聞いてみてください。
看取りがゼロという診療所は避けた方がいいでしょう。

4)訪問看護師やケアマネと連携している。
在宅療養で一番必要なこのは、訪問看護と介護です。
彼らと上手に連携がとれない在宅医は避けてください。
医者は指揮者のような存在です。

5)ウマが合うか。
患者と医者は、所詮、人間関係です。
ウマが合うかどうかも大変重要です。
合わなければ、早めに変更したほうがいいでしょう。