《0898》 緩和治療は、患者側から希望を出せますか? [未分類]

【相談】

長年の大切な友人が脳性麻痺にかかり、療護施設にいますが、
毎日痛みに苦しんでいます。 

長尾先生の『平穏死 10の条件』を読んで、痛みは
コントロールできるという部分が大変気になっております。
また、麻酔の量が足りていないことも多々あるということ。 

友人は今、まわりに家族・親族もおらず、アドバイスできるのは私
ぐらいですが、私から友人の担当医に、もっと痛みを取り除いてほしい、
緩和治療に力を入れてほしいとお願いすることは可能でしょうか。 

相手にされないような気もしています…。
(相談者・栃木県/65歳男性) 

【回答】

まず「療護施設」とは、どんなところでしょうか?
療養病床(老人病院)?養護施設?
特養や老健? 

「担当医」という言葉がありますが、
主治医でしょうか?嘱託医でしょうか?
それによって答えはかなり異なります。 

医療機関におられるのか
そうではないのか?
その痛みはおそらく「慢性疼痛」というものでしょう。
3カ月以上持続する痛みのことをそう言います。
腰部脊柱管狭窄症など、結構、頻度が高いものです。 

緩和医療は、がんだけが対象ではありません。
がん以外、非がんの病気も緩和医療の対象です。
個人的には、後者の方がずっと多いと感じます。 

身体的痛みの緩和には、お薬を使います。
従来の痛み止めや麻薬など。
最近は、その中間にあるお薬もいいのが出てきました。 

さて、そのお薬は特養や老健に入所中なら難しいかもしれません。
特養や老健は、基本的に医療が要らない人が入る施設だからです。
医療はほとんど無いと考えておいた方がいいでしょう。 

従って特養や老健なら、緩和医療はあまり期待できません。
但し、特養では、末期がんの患者さんのみ在宅医が外から入って
在宅医療、緩和医療を行うことが認められています。 

一度、施設長や嘱託医と相談されればどうでしょうか?
個人的には、特養や老健こそ緩和医療が必要だと思います。
老衰や認知症終末期だってそれなりの痛み・苦しみがあるから。
それらを緩和する医療は大切だと思います。 

正直、日本の緩和医療はまだまだです。
がん以外の病気に麻薬が使えることでさえ
医療者自身や国民に充分に周知されていません。 

もし痛みが激しければ、緩和医療をしっかり行える
医療機関や在宅ホスピス医に変わるのはどうでしょうか?
療養の場や主治医を変えるという意味です。 

緩和医療に精通した医師は、まだそう多くはありません。
患者さんから声を上げなければ医療は変わりません。
まずは、しっかり「緩和医療」を求めてください。 

私は、すべての患者さんは以下の権利を持っていると考えます。

  1. 自分の病気に関する情報を知る権利
  2. 病気の治療法を自分で選ぶ権利。
  3. 緩和医療を受ける権利  

どうか、痛みを我慢するのではなく、希望を持って
緩和医療を求めてください。
今はそんな時代です。