《0899》 「平穏死」の本、患者本人に読ませてもいい? [未分類]

【質問】

『平穏死 10の条件』は良い本だけど、延命治療真っ最中の本人に
どう薦めて、読ませればいいでしょうか? 先生のを愛読していて、本のことを知りました。
時を同じくして、主人の父が胆管がんを患い、
在宅での抗がん剤治療を受けるにあたり、本書を求めました。

今、私が乗り越えたいと思っているのは、
こうした本を、本人や家族に勧めるむずかしさです。
嫁とはいえ、義父・義母・主人からすれば私は他人。
他人ゆえ、冷静に「平穏死」などと口走れるのだ!
と思われやしないかと。何かアドバイスがあればお願いします。

(相談者・兵庫県/41歳女性)

【回答】

大変切実でリアルなご質問、ありがとうございます。
実は、よく聞かれる質問です。
結論からいえば、薦めることはいたしません。

私自身、毎日、多くの終末期の患者さんに接しています。
そんな当人に本の話をすると大変なことになる可能性があります。
ですから、家族にお話しすることはあっても、本人にはしません

平穏死とは、自分で知り、求めるもの。
ひとつの生き方、だと思います。
他人に押し付けるものではありません。

まして闘病中の方には、このタイトルは酷でしょう。
もしどうしても知らせたいなら、さりげなく、
新聞広告や本を置いておけばどうでしょうか

本人に聞かれたら「知り合いにもらった」と言ってください。
間違っても、「これを読んで」とは言わないでくださいね。
闘病中の方の精神状態は大変デリケートです。

私が診ている患者さんで拙書の存在を知っている方は
おそらく、半分もいません。
本を書いていることを知らない方も大勢おられます。

何でも無理はよくないです
自然に任せるのが一番。
ですから、読ませなくてもいいと思います。

ただし、自分自身はしっかり読んでくださいね。