《0090》 救急車は来たけれど、行き先が見つからない [未分類]

医療崩壊や救急崩壊という言葉は、どこかで耳にしたことはある。
しかしどこか遠い地方の話で、この辺はまだまだ大丈夫!なんて
考えている人が、大半ではないでしょうか?

そのような人に限って、身内の人が急病になって救急車が希望する
病院に運んでくれないと、激怒されます。
「今の医者はひどいものだ。ふざけている」と。

実際は救急崩壊で、救急搬送先がなかなか見つからないのが普通です。
すぐに救急隊が来ても、そこからすぐには動けません。
平均2、3件は断られるそうです。
ひどい場合は、10件も断られる……。

カッコイイ救急救命医をめざしてその資格を取っても、過酷な労働条件に
嫌気がさして他科に転向した救急医を何人も知っています。
頑張っても頑張っても、後ろ盾がなく、ドロップアウトせざるを得ないのです。

患者さんは病院に行きさえすれば、たとえ真夜中でも最高の医療が
受けられると信じておられます。
それだけ日本の医療が、信頼されてきたとも言えますが……。

しかし、もはや現実はそう甘くはありません。
「受け入れ不能」であっても、「たらい回し」という言葉で叩かれます。
無理して受け入れても失敗すれば、「医療ミス」でまた叩かれます。
医者も生身の人間です。
あまり弱音を吐かない、吐けない人種です。

こんな時代だからこそ、イザという時に「病院とつながっておきたい」と、
どこまでも病院志向の患者さんが増えています。

これは間違っています。
病院のベッドも有限ですから、いくら診察券を持っていても入院保障
ではありません。

金曜日の夜や土曜日の夕方になると、駆け込み受診が増えます。
どうしてもっと早く言わないの?という方が沢山来られます。

「イザとなれば救急車を呼べば何とかなると思った」と、言われます。
病院も週末は休みです。
当直医のみの手薄な受け入れ態勢になります。

慌てないためには、早め早めにかかりつけ医に相談するのが一番でしょう。
そんな当たり前のことを、高校生の健康の授業でも教えるようにしています。