《0902》 「自宅で平穏死はしたいけど、孤独死はイヤです」 [未分類]

【相談】

私は一度も結婚せず、悠々自適でやってきました。
一人暮らしで、二匹の犬を飼っています。

一人でも充実した毎日で、『平穏死 10の条件』を読んで
やはり自宅のマンションで死ねたら本望だという気持ちになりました。

でも、この春になくなった山口美江さんのように、
孤独死という状態はイヤです。

長尾先生は、おひとり様は平穏死しやすい、と書かれていましたが、
その場合、孤独死して数日経ってから見つかる場合も多いのでは?

せっかく平穏死ができても、警察に運ばれて遺体解剖されるのか、
と思うと大変不安になります。

(相談者・東京都/58歳女性)

【回答】

まだ58歳なのに、そんな心配をされているあなたは相当な心配症かな。(笑)
冗談です。しかし常に覚悟して生きることが大切だと思います。
さらに拙書を読んで、真剣に考えて頂いて、質問まで頂き感謝します。

人間の死に方は、2通り、だと思います。
予期せぬ死(突然の死)と、予期された死です。

前者は、交通事故、自殺、心筋梗塞、くも膜下出血など。
後者は、がん、老衰、認知症、難病、脳梗塞後遺症など。

前者は、予測できませんから、警察のお世話になるでしょう。
文明国家ですから仕方がありません。

お風呂での溺死もあります。
結構若くても、あり得ます。

あと、心筋梗塞や原因不明などもあります。
独居と聞くと大原麗子さんも思い出します。

これらは、平穏死と関係のない、突然死です。
一方、後者の死は、予測できる死です。

それは病気や老化の果ての死。
がんの場合とがん以外の場合がありますが、
いずれにせよ、徐々に弱って死に至ります。

弱って来た時に、自分の最期を託せる町医者を見つけておくことが、
在宅、非在宅を問わず、なによりも大切な時代です。
もちろん往診してくれることが条件です。

平穏死は予期された死に対して使う言葉です。
予期できるから、備えることも選ぶこともできる。
それが平穏死、自然死、尊厳死、なのです。

おひとりさまは、実に平穏死しやすいです。
意外に思われるかもしれませんが真実です。
平穏死を阻害する大きな因子が「家族」であるからです。

さて、御指摘の「孤独死」という言葉は、時として
両方の意味で使われているようにも思います。
突然死もあれば、予期された死もある。

予期されたのに、数日間、発見されなかった。
それを懸念されていますが、これは普段の人間付き合い、
近所付き合いによりますので、何とも言えません。

ただあまり考えても仕方がないということに気がつくはず。
死だけは自分の思い通りにいかないものです。
従って病気で衰弱してきてから用意をしてもいいかと思います。