《0904》 「平穏死したいが、夫と意見が食い違います」  [未分類]

【相談】

『平穏死 10の条件』を読んで、まさに私の
考えていたことだと膝を打ちました。

さっそく、リヴィングウィルを書いて、
「私は一切延命治療は受けないから」と夫に伝えました。

しかし夫は「俺はそんなことはわからないし、医者に逆らう
勇気もないから」と大変消極的でがっかりしました。

もし私が先に旅立とうとした時、夫が
ちゃんと私の意図を汲んで行動してくれるのか疑問がわきました。
こんな時はどうすればいいですか。
(相談者・北海道/80歳女性)

【回答】

よく聞かれる質問です。
リビングウィルは、ただ書くだけではだめです。
第三者に託して保存しておくことが重要です。

日本尊厳死協会に入会するのが最も簡単な方法です。
署名したリビングウィルを、厳重に保管管理します。
医療機関から照会があれば、きちんと回答します。

そのためには、リビングウィルカードを携帯することが大切。
いつどこで重大事故に会うか分からないからです。
医療機関を受診する時には最初に提示してください。

リビングウィルは、あくまで個人の問題です。
いくら夫といえど、本人ではありません。
必ず自分の意志を明確に残すことが肝要です。

家族は基本的には関係ありません。
本人の希望の問題です。
個人の幸福追求権(憲法第13条)なのです。
ただリビングウィルは、日本では法的に認められていません。
それを法的に認めてもらいましょうという最近の動向が
尊厳死法制化です。

リビングウィルが無ければ、夫の意志で、自分の希望と
全く違う医療を受けるようになることがよくあります。
だから、しっかり、リビングウィルを残してください。

蛇足ですが、夫婦そろって尊厳死協会に
入会されている方が沢山おられます。
私はそんなカップルが診察に来られた時が、幸せです。

【PS】

昨日は日本尊厳死協会関西支部の大会が和歌山でありました。
ベストセラー作家の久坂部羊氏が、特別講演をされました。
とっても腑に落ちる、素晴らしいお話しでした。

そこでもリビングウィルが話題になりました。
法的担保はまさに、これからの重要課題です。
是非、みなさまと一緒に考えていきましょう。