《0908》 「胃ろうをしないことは、死期を早めるということですか?」 [未分類]

【相談】

認知症の主人を介護しています。
この春に入院したとき、胃ろうを勧められました。
断ったら、すぐに退院となりました。 

それから1カ月ほどして、ミキサー食が
食べられるようになりましたので、
胃ろうはしなくて良かったと思いました。 

しかし、今現在、また脱水症状が起きて一滴の水も飲めなくなり入院しています。
また胃ろうを勧められても断るつもりではおりますが、胃ろうをしないことは、
死期を早めるということですか。
教えてください。
(相談者・和歌山県/61歳女性)

 【回答】

認知症終末期の胃ろうに関しては、外国では延命効果は無いが定説です。
しかし日本では、いまだ定説はないように思います。
2年ほど延命効果があると言う医者とそうでないと言う医者がいます。 

そもそも「延命効果」という言葉の定義にもよります。
胃ろうを入れてから何年生きた、という話ではありません。
胃ろうを入れた場合と胃ろうを入れなかった場合の差を言います。 

実際には、胃ろうを造設した時点からの対応でその後の経過が
大きく変わると思います。ですから単純比較はできません。
胃ろうを増設した直後から嚥下リハと口腔ケアを行うべきです。 

それをきちんとすれば胃ろうをした効果が出る可能性があります。
しかしそれを怠れば、延命効果はあまり期待できないと思います。
胃ろうそのものより、胃ろう生活の管理の仕方で変わってきます。 

私は、ハッピーな胃ろう、アンハッピーな胃ろうに分けて考えます。
その分かれ目は、意思疎通できるか、嚥下ができるか、です。
ハッピーな胃ろうも、いつかはアンハッピーな胃ろうになります。 

あと胃ろうを造設する時期が大切です。
もしやるなら、なるべく食べられる時期に造設してください。
全く食べられなくなってからだとアンハッピーな胃ろうになるかも。 

ご主人は、自身の延命治療についてどのようなお考えでしょうか?
リビングウイルを表明していなければ、配偶者が決定しています。
ご主人の生き方や死生観からよく考えて選んでさし上げて下さい。 

ご主人の年齢、意識状態、余病の有無と程度、寝たきりかどうか、
意志疎通できるかどうか、などによって答えは変わってきます。
絶対的な答えは無いと思います。 

奥さんの年齢が、61歳というのが気になります。
平均年齢より上か下かで、心情的な差はあります。
しかし病気の性質上、仕方がないかとも思います。 

私自身は経過からみて、胃ろうをしないという選択で
間違っていないと思います。
もちろん気が変わって胃ろうを選択するのも可能です。 

胃ろうをしなければ死期を早めるということはありません。
死ぬ時がきたら、自然に死にます。
私はそう思います。 

主治医ともよく相談してください。
正直、一番、答えに迷う質問です。
迷うのでついつい答えるのが、13番目となりました。 

【PS】

今日は夕方、名古屋で尊厳死の書籍の打ちあわせです。

夜は、東京の某テレビ局に出ています。

朝晩、寒くなりましたので風邪に気をつけてください。