《0919》 「なぜ日本のリビング・ウィルは増えないの?」 [未分類]

【相談】

市民病院でナースをしています。
長尾先生のご主旨に賛同します。
これからは、リビング・ウィルの時代です。 

私達病院の看護師ももっと勉強しなければと思っています。
長尾先生は、『平穏死 10の条件』を医師が読んでくれない、とお嘆きでしたが、
それこそ、リビング・ウィルを知らない同僚も正直います。 

どうしてここまで日本では認知されないのでしょう?
アメリカの国民は4割、だけど日本では0.1%しか表明していない
という箇所を読んで、愕然としています。 

この落差の理由は、どこから来ると思いますか?
(相談者・宮城県/46歳女性)

【回答】

個人主義や自己決定という文化があるか無いかの差でしょう。
日本では、曖昧にしておくことが美徳、とされる文化です。
死や延命措置に関しても明言しないほうがいいという空気。 

赤信号、みんなで渡れば怖くない、ではありませんが、
自分の頭で考えるより、皆と同じようにするのが日本人。
リビングウィルという言葉にもあまり関心がありません。 

自分で決められないという日本人が増えています。
死であれば「外注化=病院に入院」が一般的です。
自分で意思決定するという土壌がかなり脆弱です。 

在宅看取りも、患者・家族の意思決定というより
なんとなくそうなったというケースの方が多いです。
自宅の方が居心地が格段にいいから、そうなります。 

意思決定しなくてもなんとかなる、という現実もあります。
お任せでもだいたい上手く行けるのが、日本という国です。
それだけおおらかでいい国、安全な国なのかもしれません。 

しかしその結果が、40万人もの胃ろう患者さんです。
世界一の胃ろう大国を、良しと捕えるかどうかは、
国民が評価すればいいところです。 

今春の消化器内視鏡学会の胃ろうのシンポジウムで
「自己決定しないという権利も認めて欲しい」と発言
した医師がいて、驚きました。 

「意思決定しないという権利」もあったんだ!?
みなさんは、どう思われますか?
日本は、それくらいおおらかな国なんでしょう。