《0931》 「もし明日の朝、母が死んでいたら」 [未分類]

【相談】

92歳の母がおります。この夏が厳しかったせいでしょうか、
近頃は食もだいぶ細くなり、横臥していることが多くなってきました。
しかしこれといって持病もないので、かかりつけ医がいません。 

先生の本を読んで、かかりつけ医を探さなくてはと思いました。
しかし、たとえば明日の朝。母が呼吸をしていなかった場合、
お迎えが来た後だった場合、救急車を呼ぶべきですか?  

警察を呼ぶべきですか?
(相談者・神奈川県/67歳女性) 

【回答】

 >警察を呼ぶべきですか?  

実際そう思っている市民が多いことに驚きます。
市民のみならず病院の医療者もそう思っています。 

「長尾先生、警察を呼ばなくていいんですか?
 呼ばないと逮捕されませんか?」
これは研修医など、お医者さんからもよく聞かれる質問です。 

外来にせよ、在宅にせよ、定期的に診ているかかりつけ医が
いる場合は、まずかかりつけ医に連絡してください。
医師には応召義務があります。 

かかりつけ医が、病死、自然死だと判断したら、
普通に死亡診断書を書きます。
もし異常死の疑いがあると判断したら警察に連絡します。 

亡くなっていた場合ですが、体温を見てください。
つい一分前のように温かければ救急車を呼んで
希望すれば心臓マッサージなどの蘇生処置をしてくれます。 

しかし明らかに死亡してから時間がたっていると判断されたら
通常、警察か家族を通じてかかりつけ医に連絡してきます。
やはり、かかりつけ医が死亡診断書を書くことになります。 

警察医は、異常死や事件の可能性がある場合に要請されます。
警察医は、絶対数が不足しているので、自然死や老衰は
かかりつけ医で対応するように、指導されています。 

もしかかりつけ医がいない場合は、警察医が検死をします。
警察医が見つからない場合は近くの医者に頼むこともあります。
当たり前ですが、警察官は死亡診断書を書けません。 

ですから、歳をとって衰弱した親を持つ子供は、
近所にかかりつけ医をもっておいたほうがいいでしょう。
というか、探しておいてください。 

かかりつけ医とは、
 ・近所で
 ・頼めば往診してくれ、
 ・イザとなれば死亡診断書も書いてくれる医師、
だと思います。 

衰弱していても自宅で療養されるならば
持つべきものは、かかりつけ医です。
遠くの名医より、近くのかかりつけ医。 

【PS】
昨日は、京都で死の臨床研究会があり、いろんな人とお話ししました。
一番嬉しかったのはコスプレ先生こと岡原仁志先生にお会いしたこと。
彼のお陰で、この歳で、やっと「ハグ」ができるようになったのです。 

先日アルコール依存症を克服したお爺さんと長い「ハグ」をしました。
ハグしながら、涙が出ました。
そして、岡原先生のお顔を思い出していたところでした。 

その後、ゴルフのクラブチャンピオンで優勝した仲間の祝勝会。
深夜、往診依頼がありご家族と、2時間半ほど話し込みました。
その後も急変患者さんがいて、結局、寝る暇が無くなりました。 

今日は、梅原猛氏、樋口和彦氏、山折哲雄氏の対談があります。
私はスピリチュアルケアの座長の役があたっています。
眠いですが、また、秋の京都を楽しんできます。