《0932》 「救急車を呼んだほうがいい場合もあるのでは?」 [未分類]

【質問】 

読んで字のごとくの「平穏死」という言葉が気に入り本を買いました。
今の日本が余計な延命治療でかえって患者を苦しめている背景が
よくわかりました。 

本人の意志を尊重し、そのまま逝かせてあげるということの
難しさもわかりました。 

しかし、私の父親は、92歳の正月に、喉にお餅を詰まらせて
もうダメだと思ったのですが救急車を呼んで緊急処置をし、
その後3日でケロっと出てきました。 

その後、一年半あまり生きて、老衰で死にました。
先生の意見には納得しますが、父のように、救急車を呼んで、
緊急処置から延命治療まっしぐらではなく、
元気になって帰ってくる老人も中にはいるのではないでしょうか?

(相談者・山形県/69歳男性) 

【回答】

ありがとうございます。
私の患者さんにも同じ方がおられます。
新聞社からも質問されました。 

救急車を呼ぶな、と言っているわけではありません。
救急車を呼ぶ意味を考えてから、呼んでくださいと。
わずか10秒での判断になるのでしょうが。 

すなわち、絶命しているのかいないかの判断でしょう。
まだ息をしていたら、すぐに呼んでください。
もう明らかに呼吸停止していれば、呼んでも無理かもしれません。 

あるいは、心臓マッサージでなんとか心臓の再拍動が始まっても
その後、人工呼吸器、胃ろう、という経過になる方もおられます。
それで医師を恨んでみても、それは違うという意味で書きました。 

昨日も京都の学会で、座長の仕事をしていました。
帰りに本屋さんに寄ったら、自分の本が2列に並んでいました。
嬉しいような、恥ずかしいような。 

誰かが、パラっと読んで、すぐに置いて買いませんでした。
しかし、次の人は買ってくれました。
知らない人が自分の本を買うところを本当に見たのは初めて。 

思わず駆け寄って、御礼を言おうかとも思いました。
救急車の項は、誤解しないでねとも言わなくっちゃ。
しかし、余りに怪しいと思われるのではないか、と考えて辞めました。