今日は、そもそもがんとは何か?について述べます。
毎日、何度も聞かれる質問ですが、
短時間で分かり易く答えるのは意外と難しいです。
私たちの体は、60兆個の細胞で、できています。
そのうち6000億~1兆個が毎日入れ替わります。
そうして生命体は維持されています。
それぞれの細胞の中に30億対のDNAが含まれています。
細胞が生まれ変わる時に、30億対のDNAはコピーされます。
しかし30億対もコピーすると、どこかでエラーが生じます。
毎日、3000~5000個ものエラーが発生しているそうです。
小さなエラーなら「P53」という遺伝子などが修復してくれます。
「アポトーシス」と呼ばれる自然死に追い込んでくれるのです。
しかし、特定の遺伝子にエラーがおこると
細胞は際限無く分裂・増殖する性質を獲得します。
それが、がん細胞です。
がん細胞は、どこまでも大きくなり、正常な組織にいくはずの
栄養も横取りしてしまいます。
こうして分裂を繰り返して成長したがん細胞は塊を形成します。
近くの組織に広がることは、「浸潤」と呼ばれます。
血管やリンパの流れにのって、遠くの組織に「転移」します。
がん細胞は、どこの臓器に転移しても、原発巣と同じ性質です。
たとえば大腸がんが肝臓に転移しても、その肝臓にある転移巣は、
どこまでいっても「大腸がん」という細胞なのです。
つまり肝臓という場に間借りをしているだけというわけです。
【PS】
昨夜は遅くまで、認知症ケアについての対談取材でした。
今日はこれから、大阪のホテルで「胃ろう」の講演です。
その前に、がんの患者さんを訪問してから、この記事を書いています。