がんの進行度をあらわす「ステージ」があります。
ステージ0~5(注:ローマ数字の5です)まで、5段階に分類されています。
それぞれのステージに応じた方針が立てられます。
ステージが低いほど治療し易く、根治が期待できます。
ステージが高いほど治療は難しくなります。
但し、ステージが高いからといって悲観することもありません。
がん細胞の悪性度は、ひとりひとり違います。
ひとくちに○○がんと言っても、みんな違います。
また、同じ人でも、病気の時期によって悪性度は変わり得ます。
「ステージ」は、あくまで目安とお考えください。
もし遠隔転移があれば、自動的にステージ4(ローマ数字の4です)になります。
しかし、そもそも「遠隔転移」とは、どういう意味でしょうか?
ここでオリゴメタ(少数転移)について少しお話しします。
昔から、がんはある程度大きくならないと
遠隔転移しないと考えられてきました。
しかし最近、結構早い段階で転移している場合が判明しました。
たとえば小さなががんが骨髄に、小さな転移巣を形成し、
そこで休止状態を維持したのちに、別の臓器に転移する。
そのようながんも結構あることが、分かってきました。
オリゴメタとは転移巣が2~3個以下の場合を指します。
遠隔転移があっても、長期生存が可能な場合があります。
転移巣に、放射線治療や抗がん剤治療を行うのです。
1ミリのがん細胞は、10億個の細胞で構成されています。
1個のがん細胞が、30回分裂した結果が、その数になる。
その途中でがん細胞が剥がれて血流に乗って転移する可能性がある。
小さな小さながんであっても、すでに遠隔転移している場合がある。
血液検査で、流血中にがん細胞が検出されることが知られています。
細胞レベルで考えていくと、遠隔転移は、そう珍しくないことかも。
そう考えていくと、「ステージ」は、あくまで目安です。
がん細胞の悪性度や遺伝子変異のほうが大切に思えます。
しかし臨床現場では、そこまで調べきれないのが現実です。
【PS】
昨日は、大阪のホテルで「胃ろうという選択、しない選択」
という講演をしました。
みなさん、熱心に聞いていただき、感激しました。
来週、講演タイトルと同じ名前の本が出版されるので
非常にタイムリーな講演となりました。