《0959》 いわゆる「抗がん剤」の思い出 [未分類]

いわゆる抗がん剤について、ごく簡単にご紹介します。

 1 アルキル化剤
    乳がんに使われるエンドキサンなど。
 2 代謝拮抗薬
    有名な、5-FUやTS-1をはじめ、メソトレキセートやアリムタなど。
 3 プラチナ製剤
    シスプラチン、パラプラチン、オキサリプラチンなど。
 4 植物アルカロイド
    オンコビン、タキソール、タキソテール、カンプト、ペプシドなど。
 5 抗がん性抗生物質
    アドリアシン、ファルモルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンなど。
 6 有機化合物
    乳がんに使われるハラヴェン・

こう書きながら、私が使ったことがない薬は3割あります。
上に挙げた7割の薬は、私自身、確かに使いました。
今、生きておられる患者さんは、数名しか顔が浮かびません。

早期胃がん手術後に、半年ないし1年間、
TS-1を飲んで頂いた方がいました。
何人かは、生きておられます。

裏を返せば、それ以外の患者さんは、亡くなりました。
なんだ、それじゃあ効かないじゃないか!と
言われる方は、抗がん剤の本質を分かっておられません。

抗がん剤の本質は、延命治療であることです。
早期がんにダメ押しで投与する場合は除いて
大半は、がんにおける延命を目的とするお薬です。

もうひとつは、これらのお薬は、全身に作用することです。
がん以外の正常組織にも作用するお薬なのです。
そう、副作用で悩むのは、これらの抗がん剤なのです。

正直、これらの薬は、本当に必要なのかな?
という思いがこみ上げてきます。
理屈ではなく、個人的な経験が目の前に蘇ってきます。

昔、これらのお薬は、どれくらいしんどいのか
自分に試してみようと思ったことがありました。
しかし、これらのお薬は自分には入手できなかった。

何人かの抗がん剤の専門家に聞いてみました。
「これらのお薬を自分に投与したことがありますか?」
YES、と答えた医師を私は知りません。

胃カメラを自分自身が受けた時、ショックでした。
そうそうバリウムを飲んだ時も、ショックでした。
こんな苦しいことを患者さんにしているのか・・・

抗がん剤は、それさえ知らずに投与してきました。
こうやって羅列しながら、懺悔の念にかられます。

私が抗がん剤が嫌いになったのは、これらの薬を
患者さんに投与して、何一ついい思い出が無かったから。
そんな単純なことを思い出しながら書いています。

【PS】

昨日は、介護界の大御所である三好春樹さんを
尼崎にお迎えして講演後、
地域で最期を迎えることについて議論しました。

三好さんとは毎年、かいご学会でご一緒していますが、
知れば知るほど、深い方だとあらためて思いました。

今日は、岡山でお医者さん対象に講演をしています。