《0966》 大腸がんと抗がん剤治療 [未分類]

私は開業前は、大腸内視鏡検査に明け暮れていました。
内視鏡でポリープや小さながんを切除する毎日でした。
進行がんは外科手術して、それで終わりという時代でした。

当時、大腸がんに効くといえる抗がん剤は
ほとんどありませんでした。
しかし現在は、実に沢山の薬が使われるようになりました。

抗がん剤の世界は動きがとても早く、
1年経つとガラッと変わっています。
10年経つと完全に浦嶋太郎です。

現在、大腸がんの抗がん剤治療は、手術の後のダメ押しや
手術不能のがん、転移や再発した大腸がんに行われています。
治療期間は、半年がひとつの目安。

現在、FOLFOX療法と、FOLRIRI療法が中心です。
ややこしい英語ですが、2つしかありませんので覚えられます。

FOLFOX療法とは、
5-FU+レボホリナート+オキサリプラチン。

FOLRIRI療法とは、
5-FU+レボホリナート+イリノテカン。

FOLFOX療法は、レボホリナート+オキサリプラチンを
2時間かけて点滴したあとに、5-FUの点滴を46時間かけて
行います。

そのため、鎖骨下動脈にIVHポートの作成が必要です。
通常、外科の先生が、1時間程度でつくります。

IVHポートには、小型ポンプが接続され
お薬が少量ずつ点滴されるようになっています。

訪問看護師が針を抜きに行く場合が増えています。
病院の外来で始まり、訪問看護師が抜いて終わるのです。
病院と在宅スタッフの協力で患者さんの負担が軽減されます。

実は、FOLFOX療法には、いくつかのやり方があり、
FOLFOX6と呼ばれる治療がよく行われています。

FOLRIRI療法も同じです。レボホリナートとイリノテカンを
点滴した後に5-FUを46時間かけて点滴をします。
やはりIVHポートが必須です。

さらに、最近は、XELOXという治療法と
IRISという新しい治療法もできました。

XELOXは、オキサリプラチンに飲み薬のゼローダを併用。
IRISは、イリノテカンに飲み薬のTS-1の併用です。

2つの新しい治療法は、FOLFOX療法やFOLRIRI療法
と比べると、簡便であることが特徴です。

さらに、主に3種類の分子標的薬が使われます
アービタックス、ベクテイビックス、アバスチンなどです。
FOLFOX療法やFOLRIRI療法と併用するのです。

また、アフリバセプトやレゴラフェニブという新しい
分子標的治療薬も使われるようになりました。
これ以上書くと、ややこしくなるのでこの辺で止めます。

要は、いろんなお薬が使われているということです。
古典的なお薬に、最新のお薬を併用する新しい治療法が
現在進行形で、どんどん生まれているということです。

私のような開業医より患者さんのほうが良く知っています。
患者さんから知識を得ることも多い。
それくらい、回転が速い領域です。

【PS】
昨日は大阪で2時間、平穏死の講演をしました。
みなさん熱心で、沢山質問が出て大盛況でした。
終末期医療への関心の高まりを肌で感じました。

その後、大阪大学で開催されている統合医療学会
勉強し、その分野の専門家の先生と懇親をしました。
抗がん剤の副作用を和らげるアロマや鍼灸などの発表も。

今日は、午前中は、タッチケア研究会で講演。
午後は、石飛幸三先生とのダブル講演です。
そのあと、看護師さんたちと宴会です。

みなさまも、忘年会をお楽しみください。