《0967》 肝臓がんの抗がん剤治療 [未分類]

これまで何人の肝臓がんの方を見てきたことでしょう。
研修医時代、肝臓病専門の病院に勤務していたのです。
来る日も来る日も、肝臓がん、肝硬変の患者さんを診ていました。

阪神間は、全国的にみて肝炎多発地帯です。
尼崎もウイルス性肝炎、肝硬変、肝臓がんの方が沢山います。
現在、日々の診療で相当数の肝臓がんを診させて頂いています。

C型肝炎には、インターフェロン治療が行われます。
B型肝炎には、核酸アナログというウイルス剤の内服が
中心ですが、若年者にはインターフェロンも使われます。

肝臓がんは、上のようなハイリスクグループが
分かっていますので、その人だけに絞り検査を行います。
一般人を対象とした検診はありません。

肝臓がんの早期発見には、エコーと血液検査を行います。
AFPとPIVKAⅡという腫瘍マーカーを測定します。
肝臓がんこそ早期発見、早期治療が目指せる病気です。

肝臓がんには、4種類の治療法があります。
手術、肝動脈塞栓療法、局所療法(ラジオ波など)、
そして、抗がん剤治療です。

局所療法として有名なものは、ラジオ波焼灼療法です。
一般的には、がんが3個以内、大きさが3cm以内とされています。
治療時間は、30~40分程度。

肝臓を養っている血管は、2ルートあります。
肝臓がんは、主に肝動脈に栄養されていますから、
その血管に詰め物をして、がんを壊死させます(TAE)。

その時に、肝動脈に抗がん剤を注入する
肝動注化学療法も行われます。
シスプラチン、ファルモルビジンなどが使われます。

そのあとに、動脈をゼラチンスポンジで塞ぐ治療を
肝動脈化学塞栓療法(TACE)と呼びます。
この治療は私が医者になった27年前位に開発されました。

さて、肝臓がんは、胃がんや大腸がんや肺がんのように
点滴する抗がん剤は、通常使われません。
肝臓がん自体が、抗がん剤が効きにくいからです。

しかし最近、やはり分子標的薬が登場しました。
ネクサバールという名前のお薬です。
1日の薬代(薬価)が2万2000円もしますが。

【PS】
週末も、講演、懇親会に走り回っていました。
昨日は、タッチケア研究会で講演しました。
タッチケアが持つ可能性をあらためて知りました。

午後は看護協会主催の講演会でお話しをしました。
「平穏死のすすめ」を書かれた石飛幸三先生との
ダブル講演でした。

講演の合間に、往診、往診。
結局深夜も往診していました。
めっきり寒くなりました。