《0968》 膵臓がんの抗がん剤 [未分類]

膵臓は、胃の裏側にある長さ15~20cmほどの臓器です。
消化酵素を作ったり、インスリンなどのホルモンを出したりします。
その膵臓にできるがんが増えています。

糖尿病外来にちゃんと通っていた人が気がついたら
膵臓がんの末期だったということが、時々あります。
膵臓がんは、なかなか早期発見が難しいがん、です。
2cm以下でもすでに転移していることがあり得ます。

膵臓という臓器のがんは、浸潤・転移しやすいがんです。

膵臓がんは、エコーと腫瘍マーカーで発見します。
エコーで主膵管の拡張や蛇行、のう胞の合併から。
腫瘍マーカーはCA19-9、DUPAN2など。

膵臓がんの6割は、膵頭部にできます。
その場合、膵頭十二指腸切除術が行われます。
膵体部や膵尾部にある場合は、膵頭部を残す手術になります。

さて、膵臓がんに使われる抗がん剤としては、
ジェムザールTS-1が有名です。

ジェムザールは、がんを小さくするだけでなく、
痛みを緩和する作用があると言われています。

週に1回、外来で点滴します。
3週連続して点滴し、その後1週間休むという
4週間単位の治療を繰り返します。

当院のような開業医の外来で行うこともあります。
吐き気や全身倦怠感という副作用がある場合もあります。
しかし従来の抗がん剤のイメージより副作用の少ない薬。

TS-1は、朝晩飲む治療法を4週間連続したあと
2週間休薬するという6週間単位のコースを繰り返します。
TS-1とジェムザールは、ほぼ同等の効果があります。

そこで、両者を併用することもあります。
腫瘍マーカーや画像診断上での効果はありますが、
生存期間の延長はまだ確認されていません。

最近は分子標的薬のタルセバを併用する場合もあります。
さらに、大腸がんに使われる抗がん剤を膵臓がんに試す
臨床試験が欧米で行われています。

膵臓がんは、肝臓に転移し易いことが知られています。

その場合、肝臓がんと同様に、膵臓と肝臓に栄養を送る
動脈に直接抗がん剤を送りこむ治療を行う場合もあります。
膵肝同時動注療法といいます。

食生活の欧米化に伴い増え続ける膵臓がんですが、
私はやはり早期発見、早期治療が大切だと思います。
エコーでわりと簡単に発見できます。

2cmでも助からないことがありますので
できれば、1cmで見つけたいものです。
それくらい、膵臓がんは、手ごわいです。

【PS】
感染性胃腸炎(嘔吐、下痢症)が、増えています。
若い人が倒れ込みながら診察室に入って来られます。

まだインフルエンザは流行っていないので、
一目で感染性胃腸炎と分かります。

2食抜いてもらっています。
しっかり手洗いして周囲にうつさないことが大切です。