《0971》 脳腫瘍の治療と抗がん剤 [未分類]

今朝から頭が痛いので脳腫瘍じゃないか?
と言って駆け込んで来られる方がいます。
実は高血圧だった、ということは日常茶飯事です。

昔、あんまり変な行動をする知人がいて、みんなで
「あいつ、脳腫瘍じゃないか?」と冗談で言っていたら
本当に脳腫瘍と判明し、あっという間に亡くなりました。

脳腫瘍には、130種類もあるそうです。
その6~7割は良性です。
なかでも神経膠腫(グリオーマ)は約3割を占めます。

脳腫瘍には、原発性と転移性の2種類あります。
CTやMRIでわかります。
脳腫瘍には、ステージ分類が無いのが特徴です。

脳腫瘍の治療の基本は手術です。
その補助療法として、放射線と抗がん剤が使われます。
非常にシンプルな治療体系であると思います。

3cm以下の腫瘍は、ガンマナイフを照射します。
ガンマナイフとは、201の穴が開いたヘルメットから
ガンマ線を照射して、1点に集中させる治療法です。

正常組織に被害を与えないのが最大の特徴です。
治療は1時間。
日帰りで行うこともあります。

さて、脳腫瘍に使う抗がん剤は、30種類もあります。
PAV療法という3者併用療法が代表的な組み合わせ。
プロカルジン(経口)+ニドラン(点滴)+オンコビン(点滴)。

PAV療法にインターフェロン注射を併用する場合もあります。
インターフェロンβを使用します。
PAV-フェロン療法と呼びます。

これまでは、脳腫瘍には、
抗がん剤は効きにくいとされてきました。
しかし、19年ぶりに脳腫瘍の新薬が登場しました。

テモダール、というお薬です。
飲み薬と点滴の両方があります。
飲む場合は空腹時に、服用後2時間は食事をとれません。

次に、転移性脳腫瘍の治療です。
脳に転移しやすいがんとして有名なのは
肺がん、乳がん、胃がん、大腸がんなどです。

昔は、脳転移したら余命1年と言われていました。
しかし今は、10年以上、元気で過ごす方が増えています。
私自身もそのようなひとを何人か、見させて頂いています。

脳転移が1~3カ以内で、大きさが3cm位内なら
ガンマナイフで積極的に治療します。
3cm以上なら、手術かサイバーナイフを選びます。

【PS】
本格的に寒くなり、外来も在宅も大忙しです。
昨日は朝から晩まで、往診していました。
在宅看取りも、連日です。

すべて、直前までしっかり食べています。
おそろしいくらい自然で穏やかな最期。
まさしく、平穏死、です。

今日は、昼休みに神戸まで出て行きます。
日本看護協会主催の衛星放送を用いての講演です。
全国3000人の看護師さんに平穏死を講義してきます。