《0976》 卵巣がんの抗がん剤 [未分類]

日常診療の中で、毎日、腹部エコーを使います。
偶然、卵巣の腫瘍が見つかることが時々あります。
かなり大きな腫瘍があっても、自覚症状はありません。

卵巣腫瘍の85%が良性で、残り15%が悪性です。
卵巣がんは、この50年間に8倍増加したがんです。
排卵回数の多い女性ほどなり易いと言われています。

また、卵巣がんの1割が遺伝性です。
卵巣がんは、組織型でいくつかのタイプに分かれています。
腫瘍マーカーでは、CA125やCA19-9が知られています。

がんかどうか分からない時は、手術室で迅速病理検査を行います。
もし良性と判明すれば、そこで手術は終了します。
卵巣がんの治療としてⅠ期とⅡ期では手術が主役となります。

60%以上のがんは、Ⅱ期以上の状態で発見されます。
ⅠC期~Ⅲ期には、手術後に抗がん剤治療が行われます。
Ⅳ期の方には抗がん剤でがんを小さくしてから手術が検討されます。

卵巣がんは組織型によって抗がん剤の効き易さがかなり違います。
漿液性腺がんには効き易く、明細胞腺がんには効きにくいのです。
いずれにせよ手術と抗がん剤治療の組み合わせになる場合が多い。

卵巣がんに使われている抗がん剤としてプラチナ製剤が主役です。
シスプラチンないしカルボプラチンにタキソールなどが併用する
方法が一般的で、TC療法と呼ばれています。

プラチナ系の抗がん剤に効果が無いか、抗がん剤治療後に再発した
場合には2010年から、ドキシル、ハイカムチン、ジェムザール
というお薬が新たに承認され、抗がん剤治療の選択肢が増えました。

このような、抗がん剤治療中の卵巣がんの患者さんの
在宅医療を依頼されることが時々あります。
全身倦怠感や吐き気などの副作用に対応して抗がん剤生活を支えます。

《編集部注:腫瘍内科医の方から、「誤解を受けかねない」という指摘がありました。12月21日に一部を加筆、修正しました》

【PS】
朝から晩までノロウイルスに振り回されています。
早くピークを超えて欲しいもの。
吐いたら、吐物に掃除機をかけないでくださいね。