子宮頸部とは、子宮の下3分の1をさします。
子宮頸がんは、膣に近い部分にできる扁平上皮がんと、
子宮体部に近い部分にできる腺がんに分かれています。
子宮頸がんの9割が扁平上皮がんで、1割が腺がんであると
言われてきました。
しかし最近、腺がんの割合が25%以上に増えてきたそうです。
がんができる原因として
頸がんでは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が知られています。
HPVには、100種類以上の型が知られています。
そのうち子宮頸がんを起こすタイプは、16型と18型です。
ついで、31、32、33、52、58型が危険と言われています。
18型は腺がんに多く、扁平上皮がんではほとんど発見されません。
子宮頸がんは、子宮頸部異形成と言われる前がん病変を経て
できる場合と、直接がん化する場合があります。
異形成は、軽度、中等度、高度に分けられます。
異形成は自然に消えることもあり、がんになるのは5%程度。
HPV16、33、52型は、危険なタイプと言われています。
もっともリスクの高い16型でも、がんになるのは20%程度。
HPVに感染してから子宮頸がんになるまで要する時間は
数年~10年と言われています。
HPVに感染してもウイルスが自然消滅する場合も少なくありません。
HPVのワクチンとして、
16型と18型を対象とするサーバリックスと、
6、11、16、18型を対象とするガーダシルがあります。
16型と18型が、子宮頸がんの6~7割を占めます。
従って、ワクチン接種で子宮頸がんの6~7割が予防
できるのではないかと考えられています。
HPVワクチンで、子宮頸がんをすべて防ぐわけではありません。
また既にウイルスに感染していればワクチンの効果はありません。
ワクチンは、6カ月の間に3回接種します。
当院のような町医者でも、ワクチン接種を行っています。
さて子宮頸がんの検診として、細胞診とHPV検査が行われます。
HPV検査は、細胞診や組織診で異常があれば保険適応になります。
日本における子宮頸がんの治療の主役は手術といえるでしょう。
子宮頸がん患者さんの9割が手術を受けているそうです。
ちなみに欧米では放射線治療の割合が高くなります。
日本においても放射線治療の割合が増えています。
特に扁平上皮がんは、放射線が効き易いと言われています。
また進行したがんには、放射線と抗がん剤が併用されます。
ⅠB期~ⅣA期には化学放射線療法が行われることが多い。
シスプラチンやパラプラチンという抗がん剤が使われます。
特にシスプラチンには、吐き気や腎機能障害等の副作用が強い。
シスプラチンとタキソールの併用はTP療法と呼ばれています。
外来や在宅で、これらの患者さんを支える機会が増えています。
専門病院と地域の診療所の連携が大切な時代になってきました。
【PS】
抗がん剤治療について詳しく知りたい方は、
必ず主治医や、そのがんの専門家に詳しく聞いてください。
このブログでは、あくまでがん医療をオーバービューすることを
目的にしていますので、詳細まで述べることはしません。
また私はただの町医者であり、がんの専門医でもありません。
多くのがん患者さんと接していますが、あくまで町医者です。
あと2回ほど、臓器別のがんについて書いてから
このシリーズの主題である、抗がん剤の止めどきについて
みなさまと一緒に考えていきたいと思います。