《0980》 悪性リンパ腫の抗がん剤 [未分類]

これまで固形がんの抗がん剤について述べてきました。
今日と明日は、血液のがんについて述べていきます。
血液のがんとは、悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫。

悪性リンパ腫が、血液のがんの約半部を占めます。
白血球のひとつであるリンパ球ががん化する病気です。
高齢者に多く、増加傾向にあります。

診断には、血液検査のほか、リンパ節の生検が行われます。
エコー、CT、MRI、PET、骨髄検査なども必要です。
細胞表面マーカー、染色体検査、遺伝子解析も行われます。

悪性リンパ腫は、ホジキン病と非ホジキン病に分かれます。
日本人ではホジキンが1割で、非ホジキンが9割を占めます。
両者はさらに細かく分類され、タイプによって治療が異なります。

悪性リンパ腫の治療は、原則、抗がん剤治療です。
放射線療法が併用されることもあります。
また、自家造血幹細胞移植という治療もあります。

ホジキンリンパ腫の抗がん剤治療は、ABVD療法が行われます。
アドリアシン、ブレオ、エクザール、ダカルバジンの併用療法です。
吐き気という副作用がありますが、いい吐き気止めの点滴があります。

非ホジキンリンパ腫の治療法は、CHOP療法が標準治療です。
エンドキサン、アドリアシン、オンコビン、プレドニンの併用です。
私自身も28年前この治療法を何度か自分でやったことがあります。

低悪性度のB細胞非ホジキンリンパ腫やマントル細胞リンパ腫には、
リツキサンという分子標的薬を併用するR-CHOP療法もあります。
分子標的薬があることが、28年前との大きな違いです。

【PS】
一昨日から研修医君が勉強に来ています。
一緒に下町の在宅医療現場をフラフラ歩いています。
若き研修医に28年前の自分に重ねて見ています。

28年前、私は血液がんの治療に明け暮れていました。
今も昔もあまり変わっていないことに驚くばかりです。
あっと言う間に歳だけを取ったことに愕然としています。

一緒に在宅を回ると、「平穏死」を信じてもらえます。
次々と平穏死があり、そのご家族の言葉に驚かれます。
「こんなに苦痛なく逝けるって思わなかった」と異口同音です。