《0983》 オーダーメイド治療は、どこまで進んだの [未分類]

抗がん剤治療には、標準治療とオーダーメイド治療があります。
これまで述べてきたように、抗がん剤治療は標準治療オンリーから
少しずつオーダーメイド治療の時代に変わってきたように思います。

抗がん剤が効くかどうかは、がん組織の遺伝子である程度予測できます。
また、難儀な副作用の程度も、患者個人の遺伝子である程度予測可能。
そして転移・再発までもそれを司るがん組織の遺伝子異常で予測できる。

がん組織の遺伝子異常と、患者さん個人の遺伝子情報が詳細に
分かれば、事前に、抗がん剤治療の効果や副作用が分かります。
しかし、それには膨大なお金や手間暇がかかります。

保険診療の範囲内では、とてもできませんので自費での検査になります。
大きな病院やがんセンターでは、そんな検査をあまりやっていません。
全員をオーダーメイド治療にするには、コストがかかり過ぎるのです。

60点、70点という標準治療をするのが、がん診療連携拠点病院です。
そもそも、がん対策基本法では「がん医療の均てん化」が謳われています。
1人の100点満点を目指すより、全員の60点を目指しているのです。

病院や主治医によって、さまざまな考え方があります。
さらにがん医療は日進月歩ですから、1年前と現在では、
常識が180度変わることもあるのががん医療の世界です。

ではお金と手間暇の話は横に置いておいて、仮に純粋に
がん組織の遺伝子異常と患者個人の遺伝子情報が分かったとします。
すると、抗がん剤の効き易さや副作用の出方を完全に予測できるか。

答えは残念ながら、ノーだと思います。
効く確率や副作用の確率の予測精度は、ある程度高まります。
しかし、100%正確に予想できるわけではありません。

あくまで、確率の問題なのです。
オーダーメイドといっても、予測は予測。
当然、外れることもあると思います。

私は、昔も今も「抗がん剤は宝くじ」だと思っています。