《0988》 手術したら急に、がんが暴れ出した! [未分類]

一生、忘れられない患者さんのお話をします。
若くて、とてもいい方でした。
いい方に限って、このようなことがあるのですが。

胃腸風邪のような腹痛で、たまたま初診された
その患者さんのお腹に、たまたまエコーを当てました。
肝臓の奥の方に2cmの影を発見してしまいました。

沢山の外来患者さんの中だったのでとても急いでいたし、
私の見間違いかと思ったので、翌日、再度見てみました。
やっぱり何かあるのです。

その方は、B型肝炎もC型肝炎も陰性でした。
少しお酒を飲むだけ。
そんな方に肝臓がんができる確率は、極めて稀です。

専門病院に紹介したら、やはり、「肝臓がん」でした。
直径2cmの肝臓がんに対して外科手術が行われました。
しかしわずか2カ月後に、両方の肺に転移が発見されました。

両側の転移巣は、再び外科的に切除されました。
しかしその2カ月後に、今度は脳と骨に転移が判明。
結局、最初の手術から半年後にその患者さんは亡くなられました。

たった2cmの肝臓がんをたまたま見つけて、喜んでいました。
しかし、このような結末を迎え、私自身も非常にショックでした。
とてもいい人でしたから・・・

実は、最初の発見時にすでに全身に転移していたのです。
おそらく血液中から、がん細胞が検出されたのでしょう。
手術した肝臓がんの組織型は珍しい「低分化型」でした。

低分化型とは、とても「タチが悪い」という意味です。
そのようながんは、たとえ2cmでも進行がんなのです。
いや、進行がんどころか、発見時にステージⅣだったのです!

さらに、このケースを明日の元旦に
深く考えてみたいと思います。

【PS】
いよいよ、今年最後の日になりました。
今年も1日も欠かさず、この日記を書くことができました。
毎日欠かさず読んで頂いたみなさまに心から感謝申し上げます。

今年を振り返ってみますと・・・・・・・
実は、今年は忙しすぎて、すっかり記憶が飛んでいます。
前半は一生懸命、2冊の本を書いていました。

後半は、本がベストセラーになったこともあり、
いろんな取材なども加わり、さらに忙しくなりました。
みなさま、よい年をお迎えください。