《0989》 親分が子分を自制する、がんの上下関係 [未分類]

がんには、原発巣と転移巣があります。
原発巣と転移巣の関係は、親分と子分の関係に似ています。
新年早々、ぶっそうな話で恐縮です。

子分は、親分の命令で動いています。
親分は子分に「勝手に暴れるなよ!」という指示を出しています。
実はがんの原発巣も転移巣に同じような指令を出しているのです。

がんの指令は、サイトカインという全身を巡るホルモンのような
物質によって出され、末端まで制御されています。
すでに全身に散らばった子分は親分の指令で大人しくしています。

しかし、その親分が、手術でしょっ引かれたらどうなるか?
「大人しくしていろよ!」という指令が出なくなります。
残った子分たちは、勝手な反乱を開始したのです。

これまで抑圧されていた反動もあるのか、激しく暴れます。
場合によっては、子分の中でも力がある「若頭」が
新しく取り仕切ることもあり得ます。

しかし「若頭」不在のまま、子分達が反乱することもあります。
2cmの肝臓がんをしょっ引いたことはそんなことだったのか。
親分をやってしまったばかりに、子分が暴れて親分の復習をする・・・

経験ある外科医なら、何度かこのような経験をしています。
「触らぬ神にたたりなし」という言葉を思い出しました。
ただ、どちらにせよ、すでに全身に転移していたわけですが。

現在の医学で、このような「親分が子分を制御」する
メカニズムが徐々に分かってきました。
それを逆に利用して、がん治療に応用できればいいですね。

【PS】
皆さま、新年のお喜びを申し上げます。
新年早々、ぶっそうな喩え話でスミマセン。
しかし、がんにも上下関係があるのですよ。

政権が変わり、景気や雇用が上向けばいいですね。
みなさまは、どんなお正月をお過ごしですか?
私は、年末年始も仕事三昧です。

医療人として、引き続き目の前のことに、
丁寧に取り組んでいきたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。