再び、胃ろうの話題を少しだけ。
先週末に、第1回在宅NST(栄養管理)研究会を開催しました。
この分野の第一人者である、函館の岡田晋吾先生をお招きしました。
講演終了後も胃ろうの功罪について、仲間たちと話し合いました。
胃ろうの功罪が、公に議論される時代となりました。
しかしひとくちに「胃ろう」といっても、病態は実に様々です。
また胃ろうに感謝している人、悩んでいる人、実にいろいろです。
小児の胃ろう。
手術後の胃ろう。
食べるための胃ろう。
そして終末期の胃ろう……。
胃ろうで救われた人は大勢います。
それは、点滴で救われた人が大勢いるのと同じことです。
胃ろうは栄養管理の始まりに過ぎないのです。
胃ろうを入れて、最悪期を乗り越えたからこそ食べられるようになった人もいます。
大きなじょく創が治った方もいます。
議論の対象となるのは、終末期の胃ろうでしょうか。
自分で胃ろうに注入してバリバリ仕事をしている人もいますから、悩むべきは、
やはり認知症の終末期でしょう。
岡田先生でさえも、3分の1の患者さんには胃ろうを入れないそうです。
胃ろうを入れるだけ入れてあとは野と山となれ!で後先を考えず退院させる。
この現状こそが問題なのです。
胃ろう患者さんが40万人もいる日本。
これから、まだまだ増えることでしょう。
胃ろうの功罪についての国民的議論をする時です。
日本人の死生観と医療費政策が問われます。