《0990》 バランス感覚の中にある、がん治療 [未分類]

抗がん剤や分子標的薬でがんを攻撃する。
それは、絨毯爆撃とピンポイント攻撃の組み合わせ。
手術で親分を摘出し、仲間には放射線で炙り殺す・・・

こう書くとがんの三大治療は、とても単純なものに見えます。
しかし単純なのは、初回手術で完全切除ができた場合位です。
多くの場合、親分ではなく、子分たちとの闘いに戸惑うのです。

子分の中でも、賢い子分が次の親分になります。
元祖親分は人情味があったが、新親分は情け容赦ない。
そんな時もあります。

また、人情味があった元祖親分も、度重なる空爆(抗がん剤)
のなかで性格が変わり、徐々に人情味を失う場合もあります。
人間の世界と同様、がんの組織も常に揺れ動いているのです。

腫瘍マーカーの動きが、決して一定ではないことは、
我々の体温や血圧や脈拍が、一定ではないことと似ています。
仏教の教えのとおり常に揺れ動きひとつに留まってはいません。

人間の免疫能も同じで、常に揺れ動いています。
よく寝れば免疫能が高まり、睡眠不足で免疫能は低下します。
同じ人間でも、本当に同じ個体かと思うくらい変動します。

話は変わりますが、唾液中のヘルペスウイルス量を
測定することで疲労度の判定が可能です。
唾液中のウイルス量は、免疫能の変動を受けて常に揺れ動いています。

がんとの闘いは、ある意味、感染症との闘いと似ています。
抵抗力が落ちれば、ノロやインフルにやられてしまいます。
がんも免疫能も、敵も味方も、常に揺れ動いているのです。

揺れ動かないのは、抗がん剤という薬剤です。
安定した化学物質なので、揺れ動くことはないはずです。
最近は、抗がん剤のジェネリックも増えています。
詳細は知りませんが。

抗がん剤治療は、「レジュメ」に従って行われます。
料理でいうなら、「レシピ」でしょうか。
定められた一定の手順に沿って、半ば自動的に行われます。

しかし、それを受け止める「がん」も「免疫能」もどちらも
常に揺れ動いていることをイメージしておくべきだと思います。
「バランス感覚の中にある、がん治療」です。

平たく言えば、もっと五感を使ってもいいじゃないか。
皮膚感覚を大切にしてもいいんじゃないかな、ということ。
これは、お医者さんと患者さんの両方に言いたいことです。

【PS】
医療機関は、月初めはレセプト作業があります。
元旦も関係無く、スタッフは仕事をしています。
医療関係者には、あまり正月気分はありません。

このブログも、もうすぐ1000回になるのですね。
3年近く、毎日、書いてきたことになります。
自分でもよく続いていると感心します。

1000回に向けて、抗がん剤について
まだまだ書きたいことを書いて行きます。
とはいえ、毎日が行き当たりばったりで、申し訳ありません。